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K園の人(6)[2008年04月27日(日) ]
その後、

周囲の人たちの そうした視線、噂話に耐えられず、という以前に そのことがあまりに尋常でない、ショッキングな出来事だったために、しばらくして その娘さんも、また時が経ち、残された夫も姿を消し、一家は そのまま消息を絶ったといいます。


おばあさんの話には まだ続きがありました。

そのことがあって、長い時が過ぎ、もう誰もその家族のことを口にしなくなっていた頃のことです。
Kの住人のある人が 関東の方に旅行に行き、その途中で 新宿の街を歩いていた時のこと。

向こうから 身なりも表情も見るからに疲れた感じの女性が近づいてきました。
その女性とすれ違った瞬間に ”どこかで見たことがある” と思ったそうです。
でも・・・
”こんな所に 知り合いなどいるはずがない。 まして そんな様子の女性と・・・”
そう思い、そのまま通り過ぎ、その場を大分行き過ぎた後になって初めて その女性が あの乗馬をしていた娘さんだったことに気付いたのだそうです。

けれど、振り返って もう一度戻るにも 雑踏の中、もう 彼女の姿は探し出せませんでした。
ただひとつ、心に残ったのは、その彼女の変わりよう。
すぐに気付かないのは当然と思える程、別人のようで、昔 乗馬をしていた頃の明るかった様子など、見る影もない姿だったということでした。

この最後の 新宿の話は、聞かなければよかったと思うほど、私の胸に刺さりました。
当時 私は中学二年、子供といっても 彼女の心の痛み、その後の人生がどれほど辛く、空虚なものだったか、それは彼女の気持ちのほんの僅かだろうけれど、想像できました。



よく世間に 親しかった友人に、或いは身近な人に恋人を奪われてしまったという話は聞きます。
それは勿論 とても深い傷を心に残すだろうけれど、その傷を癒すために見方を変えてしまえば、”所詮 皆他人なのだ”と割り切ることもできます。

けれども、誰にとっても特別な存在であるはずの”母親”と 同じように大切だったはずの恋人と こんな結果になってしまった彼女の心の傷は どんなに時が経とうとぬぐい去ることなどできない、おそらく どんな慰めの言葉も届かない深い傷を負った人生だったろうと想像します。


しかし、また転じて この母親と青年のことを考えてみればどうなのでしょう。

Posted by at 15:08 | 小夜話〜K園の人〜 | この記事のURL
コメント(5)

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http://salon.stage007.com/308/archive/133/0

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コメント


Mirubaさま

またありがとうございます。

書いてくださったこと、とてもうれしかった!
>神でない私たち人間の心はもうちょっと複雑怪奇であることをみんなが知ってしまいました

まさに それなんです
このとき、おばあさんの話の中に感じたこと。

彼女は その複雑怪奇な人の心、どうしようもない人の行動を 頭でなく、
心で ”理解”していたのだろうと思います。
そうだからこそ 子供にでも話す気持ちになれたのでしょう。
それを どうお伝えしていいのか、迷っていますが・・

付き合って下さってほんとうにありがとう
たくさんのコメント 私こそ勉強させて頂いています。
おわりのときは わかるように”完”にしますね
Posted by:  at 2008年04月30日(水) 00:43

いえ 静さま
少しずつ書いてくださったので とても興味をそそられましたし またドラマチックでしたから 強烈でした 

リアルの世界の残酷さを見ました ドラマではないだけに容赦が無いですね 
昔なら民衆の意見は母親と恋人を鬼畜のようにあつかったかもしれません
ですが 神でない私たち人間の心はもうちょっと複雑怪奇であることをみんなが知ってしまいました そして神でなく人間であるからには もしかしたらそこに三分の理由があるのではないかと考えるようになったのですね

確かに「善はすべてのことに勝つのだ」
そういう考えが多人種多文化の世界をまとめることには違いありませんし 人間として崇高に生きるための重要条件ではありましょう

ですが その「善」さえ立場によって変ってくる
それも認めてやろうではないか
そういう考えが出てきたように思います

それが過ぎると犯罪者の人間としての権利主張がつよくなり被害者の生きるための権利が無視され犯罪者の義務も軽くなる 矛盾に満ちます

今回はもちろん犯罪ではありません
ですがもしこのお嬢さんが立ち直れなかったとしたら
犯罪と呼ばずしてなんでしょうか 
大昔なら一刀両断されても文句は言えなかったでしょう
精神的苦痛への慰謝料請求名誉を毀損されてもいますから訴えることは可能だったのですね でもできなかった
Posted by:Miruba  at 2008年04月29日(火) 16:53

続き

この母親と恋人を見返すためには どうしても自己保護が必要でした
それは「恨み」を引きずって生きていくことではなく「許す」ことなのではないのでしょうか
いや 許せないでしょうね どれほど辛かったでしょうね

だからこそ 母親は姿を見せるべきだったと思います 恋人は乗馬の娘さんに殴られるべきだったと思います 
それがせめてもの裏切った彼らの罪を償うこととなるのに

また娘さんも父親も訴えるべきでした 白日の下にさらして恥をかかせるべきでした そうすることで娘さんは心に決着をつけることが出来たかもしれません


おそらく逃げたまま消息はようと知れなかったのでしょう
娘さんは怒りを恨みにすることしか出来なかったと思いますね
文句を吐き出す相手がいないことほど怨念を黒い塊にするものはないのではないでしょうか 

非常に考えさせられる事件でした
静様 まとめてブログに発表なさいませよ
私一人で勉強させていただいたのではもったいないですよ

バーチャルです 小説とすればいいではありませんか

Posted by:Miruba  at 2008年04月29日(火) 16:52

Mirubaさま

いつもありがとうございます。
書いて頂いたこと、夕べゆっくり読ませていただきました。
Mirbaさまらしい深い見方で しばらく考え込んでしまいました。

この女性も 人生の後半では 許す心になっていたかもしれませんね。
すべて想像でしか言えませんが・・

このお話、短いのに 少しずつ、ゆっくりペースでごめんなさい。

あまり長い間、蓋をし過ぎたために いろんな気持ちが次から次からあふれてくる自分の中の思いに 今気づかされているんです。

だから・・
今頃、こんなこと、書き出したのかもしれませんが・・
Posted by:  at 2008年04月29日(火) 14:57

いじめられる人といじめる人
虐待をうけるひとと虐待する人
批判を受ける人と批判する人

いじめる人は心が狭い 虐待する人は言語道断 批判する人も良くない
自分がされたら言われたらどんなに辛いか考えてみろ

また
何故いじめられるか考えろ いじめられる側にも問題がある
何故虐待を受けてほっておく 虐待を受ける側にも問題がある
何故批判を受けるか考えろ 批判を受ける側にも問題がある

答えは常にありません
どちらが良かったのか悪かったのか 実は誰にも決められない
決めるのはひとえに「自分自身」
後は傍観者の意見でしかないと感じる

自分自身で選べなくなったときに法律があり倫理や道徳マナーエチケットがあるだけれども突き詰めれば自分の心次第なのではないだろうか

試練は実は大変な事が起こった後に来る
その真の試練をどのように乗り越えていくのか

バスのハイジャックで全身火傷をおって急死に一生を得た女性がバスハイジャックの男を許す話を読んだことがある 息子を殺された母親が 犯人が死刑になっても許せないといい 終身刑になってしまった犯人とやり取りするうちに許す気になった そのときに心が癒されたという

どんなに辛いことが起こっても超えられない悲しみも絶えられない苦しみもないという ならば乗り越えるのは自分自身

はい ここまでは受けたものの立ち直りのこころがけ よくね わたしそんなに強くないもん とか聞くがコレは強い弱いの性格の問題ではなく 自己保護でだれでもできることなんだね

乗馬の美しいお嬢さんは立ち直る自己保護が出来なかったんだね
つまり母親を恋人を許すことが出来なかった
人は許したときから未来が待っているものね

これはね 心理学や占いでも言うそうだが お母さんが不治の病で苦しんで死んだり恋人が仕事で挫折を味わい退廃的な暮らしをしているのを目に見たときに「ざまあみろ」と 溜飲を下げる思いをしたときに 癒される許す気持ちになるのだそうです 

ざまあみろ と思うような人間にはなりたくないが じつは人間の保護本能でもあるんだね
彼女はきっとずっと過去に縛り付けられてしまったのですね
自己保護が巧く働かず自信を喪失したまま人生を送ってしまったのでしょうか なんと重い心の黒い塊だったでしょうね 憐憫

それにつけても母親とその恋人はどうなったのでしょうね・・・
Posted by:Miruba  at 2008年04月28日(月) 17:48