次の日、いつものように学校に行き、みながワイワイ騒ぐ中にいたお昼休みの頃、何がきっかけだったかは もう忘れましたが、急にこの話が思い出されてきました。
それは、いがくり頭の男の子や おかっぱ頭の女の子たちのはしゃぐ姿に囲まれる中で まるで別世界の話のように。
”一体、おばあさんのしてくれた昨日の話は何だったんだろう・・・”
そんなことを思いながら、校庭に目をやった時、おかしなことに その眩しい土の上に 馬に乗った真っ赤な乗馬服姿の娘さんと その馬の手綱を引きながら横に立つ爽やかな青年とが、仲良く話している姿がぼんやり浮かんできたのです。
そして、実は今も この話を思い出す度、この二人の姿が浮かんでくるのです。
おばあさんの聞かせてくれたこの話は、世の中を建設的に 少しでも明るい光ある方向に導いていこうとする社会の中では、口にするのも憚られるような闇の中の話、と受けとめられることだろうと思います。
けれど、それでも 私の中に一抹、これはほんとうに全て”闇”なのだろうか、と問いかける気持ちがあるのも確かです。
子供の頃のあの時、このおばあさんの話がもし、
「あのね、昔、家の近くに こんなわるいお母さんがいてね・・・」
というような話しかけ方だったなら 私の受けとめ方も違っていたかもしれず、そもそも 今ここにこうして書き入れる気持ちすらおきていなかったかもしれないと思います。
近くの人の噂の話をした時も ただのひと言も批判するようなことは言わなかったおばあさん。
この時、批判するかわりに言った言葉は、
「あの人(母親)と あの青年なら 私はわかる・・。」
のひと言でした。
その言葉から、どんなことも 生のその人たちを知らなければ、わからないことがあるのだろう・・・
そんなことも思ったその時。
K園の人。
おそらく 今はもう皆、この世の人ではないだろうけれど、
もし、もう一度、生まれ変わることができるのなら、どうぞ 娘さんは素晴らしい恋人にめぐり会えますように、
そして 母親と青年は 誰からも祝福される間柄としてめぐり逢えますように、と祈ります。
私の 古い思い出の中の昔話、長い間、読んで下さり、ありがとうございました。

静さま