バスに乗り込むと、人が結構のっていて、すわれるところは、ひとつ。
おばさんが窓際に座ってるそこしかなかった。
博多駅まで30分あまり。
すわれたなら、座っている方が楽。
やれやれと。腰をおろしたとたん。
隣のおばさんが自分の手をみて、骨折?と話しかけられた。
ええっ!なんで、全然知らん人から・・気持ち悪い。
と、思ったものの、昨今、ふつうの人がいきなり豹変することもあるし。
ここは、こらえて、ええ、少し、手首をいためまして。
と、答えた。
すると。
なおしましょうか。
はぁー?
と、答えたものの、どうにもこうにも答えようがなくて。
黙ってた。
隣のおばさんは、いきなり、両手を包帯を巻いてる手首の上10センチあたりに持ってきた。
ぎええっ!なになに、これ。
気持ち悪い。
いやですとも言えず。自分の横には、人がたっていて、立ち上がれず。
かなしばり状態。
致し方なく、黙ってると、承諾と勝手にとらえられた。
それから、自慢げにこのおばさん、しゃべりつづける。
もちろん、手はかざしたまま。
これは、宗教ではなくて、東洋医学にのっとったすごいもので、私は力があるんですよ。痛いものがすぐになおるんですよ。これまでも、、どうたらこうたら。。
というふうに長喋絶はつづき、がまんがまんとこれまた、必死にとなえながら、無言の境地に入るように自分をしむけた。
そうすると、お名前は問われ、いわなくちゃいけないですかと言ったものの、名前を言わんとこれまた、危ないかもと、むにゃのふにゃふゃとバスのなかにいる大勢の人たちに聞こえないように小さい声で言った。
聞き違えて、田中さんをよなかさんといわれたがこの際、そういうことにした。
再び、オクターブがあがり、ひとりおばさん独演。
バスのなかは、奇跡が起こるんです!とおばさんの雄叫びがあたりを支配。
ますます、小さくなる自分をよそめに、半身不随の会員が歩けるようになり、しかも、結婚までできたと、ずずずずっっっと、ボリュームアップのまま、話はつづく。
勘弁してくれよーという心の叫びは、おばさんには届かず。
どうです、痛みはなおりましたか?と聞かれ、首をひねる。
あきらかにがっかり気味のおばさん、まだ、修行中ですから。。。と。
修行はよそでやってくれ・・・と、これまた、心のなかの声は届かず。
もうすぐ、解放されるバス停も間近と。
浮き足立つも。
おもむろに、大きな鞄をあけ広げるおばさん。
ぎょっ!今度はなに?
ぶっそうなもん、出さんでよ。
何気にのぞくと、書類がいっぱい。
ちらしを一枚とりだし、ここに天神出張所の連絡先がありますので、良かったらいらしてください。
こうなったら、相手の名前くらいは、確認しておこうと、チラシの最後に書いてあった手書きの名前、ゲット。
中原とあった。
で、おばさんの名前だと確認する。
それと二度と遭遇しないように、おばさんの行動範囲を確かめるべく。
ふだん、お仕事してらしてるんですか?
仕事をしてまして、平日は、このバスに乗ってます。
しめしめー。
毎日、同じ場所に仕事に通うということをつきとめた。
よしよし、この時間帯のバスを避ければ、二度とあわなくてすむな。
結局、あのおばさんは、なんだったろうと、知人は首をひねる。
当然のことながら、手首の痛みは、よくならなかった。
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at 15:27
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