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血脈(佐藤愛子) [2008年03月10日(月) ]
「あんたはいいよね。ヘンな親類がいっぱいいて」
小説のネタはいくらでもあると。
ということがあとがきに書かれてあって、私も深くうなづいた。
私自身も、ヘンなやつらに囲まれて生活してるせいか、あれもこれもと、そのヘンなやつらの生態を書きたくてたまらなくなる。

自分の事情はさておいて。
血脈である。
サトウハチローは、超有名人であるが、それの一族の物語。
もちろん、作者である佐藤愛子もその一員である。
おおよそ、有名人というものは、きれいなところばかりしか見せない。
けれども、これは、全く違う。
これでもかと、人として、いかがなものか!ということが嫌になるほど、出てくる。いわゆる、こんな大人になってはいけませんよの見本である。
けれども、そのどうしようもない人間たちの織りなす一族というのは、最低調和と申しましょうか、落ちるところまで落ちているに関わらずに、それなりに生を全うしていくのである。
読みながら、ひでぇ!が口癖になる。
楽しい我が家が当たり前と思っている人たちからすれば、とんでもない一族である。お互いに食うか食われるか、がむしゃらに、うそつき、兄弟を蹴落とし、生きていく様は、あさましい、と、いわれてもやむを得ないだろう。

今までに、ひどい小説は、たくさんあって、むなくそ悪いというのも、読んだが、そろいもそろって、こんなに人間以下が密集しているという一族も珍しい。
例をとれば、うちの親族でさえ、できそこなって、勘当処分の憂き目にあっているのは、ひとり。
それぐらいの率がふつうと思う。
なのに、死んでありがたがられる親族というのは、すごすぎる。
けれども、人間というのは、こういうどうしようもないやつらでも、生きていけるのである。
が、慣れというものは恐ろしいもので、諦観の境地にもなる。
いやはや、佐藤愛子自身も憂えていたが、サトウハチロー然り、こんな人とは思わなかったという読者の失望、いかに。
ましてや、怒りを覚える方がでてくるかもと。
しかし、12年の長きにわたって、書かれたこの小説。
よくわからぬ感慨にうたれることは、必至である。

上中下、それぞれが文庫本で、3センチ弱の厚さ。
非常にながい。
でも、きれいごとの小説ではない人間たちのあがきは、時々、ああ、そうかもと、納得できることがたくさんある。
読了冥利につきる。

最大にお勧めしたい人は、私って、不幸と思われてる方!
いやいや、まだまだ、全然、大丈夫です!

Posted at 16:51 | 本バカ | この記事のURL
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