ある葬儀にての想い 【2007年04月24日(火) 】
先週、1987年から1996年まで「ポリドールレコード」にて
職場を共にした仲間が逝った。
自分より三歳年下であった。
自分がポリドールを辞めたあと、彼は必死に会社に
食い下がりそこで生きようとした。
2000年ぐらいであったであろうか。
ポリドールを彼が辞めたという通知が一枚の葉書で来た。
若くして脳梗塞であった。
彼には悪いが、通夜であの頃の仲間と会えるのは楽しみだった。
当時、彼とは「CASIOPEA」を制作と販売促進の立場でタッグを組んだ。
彼が逝ったことは年功序列から考えショックではあったが、
こんなこともあるのだと思い、通夜に出向いた。
遺影が大きく見え、親族に挨拶をして焼香をする時に
あの頃の彼の屈託のない笑顔の小さなポートレートが
焼香箱の横に飾られていた。
通夜後に当時の仲間と学芸大で飲み、三々五々で解散した。
すると意味もなくあのポートレートを思い出し、止めどもなく涙があふれ、
一人ガードレールの横で泣いた。
『生き死に』
ずっと昔映画フーテンの寅で渥美清と京マチ子の
ひとつのシーンを思い出した。
「寅さん、人ってなんで死ぬんだろう」
「人がいっぱい生まれてきて、年寄りがおしくら饅頭をするんですよ。
するとあっあぶない落っこちる。それで落ちた人が死んじゃうんです。
死ぬって言うのはそんなもんじゃないですかね。」
幼き頃、母親が死ぬ事や飼い犬が死ぬ事を考えると夜も眠れなく
悲しくなった。
死にたいと思ったこともあった。
友人の保証人をして4年間の地獄の釜の淵を歩いたときである。
そのときは自分の生命保険での受取額を調べ、
何を馬鹿なことをやっているんだと自分を戒めた。
先日、その友人だった男の破産宣告が来て、地裁で行われた債権者会議に出席した。
債権者席に座ったのは自分だけだった。
管財人と弁護士の立会いのもとに会議は始まった。
管財人から自分に何か申し立てはありますかと聞かれた。
「あります」と答えた。
「その男と話しをさせてください。」
「何の件についてですか。」
「いいから話をさせてください。」
「お前、何で消えた。何で逃げた。」
相手はうつむいたままであった。
「俺は今幸せだ。
お前から聞ききたかった言葉は只一言。
『すみませんでした』
『ごめんなさい』
この言葉を聞けたなら俺はどれだけ救われたか分かるか。
お前も幸せになりたいから自己破産を選んだんだろう。」
「すみませんでした。」
泣きながらあいつの言った言葉であった。
債権者会議を出ると外は真っ青な空が霞ヶ関を覆っていた。
今日はおもいっきり飲むぞと意気込み、地下鉄の階段を小走りで下りた。
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※およそ35年前の萩原本人も登場する単行本「エレックレコードの時代」。
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自分より三歳年下であった。
自分がポリドールを辞めたあと、彼は必死に会社に
食い下がりそこで生きようとした。
2000年ぐらいであったであろうか。
ポリドールを彼が辞めたという通知が一枚の葉書で来た。
若くして脳梗塞であった。
彼には悪いが、通夜であの頃の仲間と会えるのは楽しみだった。
当時、彼とは「CASIOPEA」を制作と販売促進の立場でタッグを組んだ。
彼が逝ったことは年功序列から考えショックではあったが、
こんなこともあるのだと思い、通夜に出向いた。
遺影が大きく見え、親族に挨拶をして焼香をする時に
あの頃の彼の屈託のない笑顔の小さなポートレートが
焼香箱の横に飾られていた。
通夜後に当時の仲間と学芸大で飲み、三々五々で解散した。
すると意味もなくあのポートレートを思い出し、止めどもなく涙があふれ、
一人ガードレールの横で泣いた。
『生き死に』
ずっと昔映画フーテンの寅で渥美清と京マチ子の
ひとつのシーンを思い出した。
「寅さん、人ってなんで死ぬんだろう」
「人がいっぱい生まれてきて、年寄りがおしくら饅頭をするんですよ。
するとあっあぶない落っこちる。それで落ちた人が死んじゃうんです。
死ぬって言うのはそんなもんじゃないですかね。」
幼き頃、母親が死ぬ事や飼い犬が死ぬ事を考えると夜も眠れなく
悲しくなった。
死にたいと思ったこともあった。
友人の保証人をして4年間の地獄の釜の淵を歩いたときである。
そのときは自分の生命保険での受取額を調べ、
何を馬鹿なことをやっているんだと自分を戒めた。
先日、その友人だった男の破産宣告が来て、地裁で行われた債権者会議に出席した。
債権者席に座ったのは自分だけだった。
管財人と弁護士の立会いのもとに会議は始まった。
管財人から自分に何か申し立てはありますかと聞かれた。
「あります」と答えた。
「その男と話しをさせてください。」
「何の件についてですか。」
「いいから話をさせてください。」
「お前、何で消えた。何で逃げた。」
相手はうつむいたままであった。
「俺は今幸せだ。
お前から聞ききたかった言葉は只一言。
『すみませんでした』
『ごめんなさい』
この言葉を聞けたなら俺はどれだけ救われたか分かるか。
お前も幸せになりたいから自己破産を選んだんだろう。」
「すみませんでした。」
泣きながらあいつの言った言葉であった。
債権者会議を出ると外は真っ青な空が霞ヶ関を覆っていた。
今日はおもいっきり飲むぞと意気込み、地下鉄の階段を小走りで下りた。
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