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落語の世界 【2007年06月12日(火) 】


六月九日午後六時に国立演芸場に向かう。

友人がプロデュースするワザオギ落語会に向かう。
ワザオギ落語会も三回目となる。
お目当ての噺家は柳家喬太郎である。
第一回目に喬太郎を見てから彼のファンになった。
2000年に真打ちになり、2007年に国立演芸場花形園芸大賞で
大賞を受賞した実力の持ち主である。

半蔵門線永田町駅を降りて徒歩5分くらいで、
最高裁判所の横にちょこっと江戸の風情を感じさせる建物が
国立演芸場、中が禁煙のせいもあり玄関の前には縁台が置かれていて、
そこで何人かの人が煙草の吸いだめをしている。

友人と待ち合わせをしていたので中に入るともう二人とも着ていた。
売店でビールを6本とつまみを仕入れ、本番の合図の前に平らげる。

そう言えば満杯御礼の大入りを貰った。
どうせ五円のしゃれかと思いきや何と中身は五十円玉であった。
何となく嬉しくなって乾杯をした。

寄席の起源は江戸初期に寺の境内の端っこでやるような物であった。
1798年に東京の下谷にある下谷神社の境内にて
開かれた寄席が最初と言われている。
当時は寄席場と言われていたそうだが、それが寄席となった。

喬太郎は中入り後での登場である。
喬太郎の次に好きなのは柳亭市馬である。
市馬の古典落語は凄い、俺が古典好きならば一番に市馬を押す。
扇子を笛に見立てるのだがフルート奏者のように指を使う。
元々は柳屋小さんに弟子入りし上方落語であるが、
自分なりにアレンジして関東風になっている。

息子に身代を継ぐのに長男、次男、三男、誰にしようかと思案し
「俺の葬式をどう演出する?」とケチな親父ネタである。
最後は親父のケチな血を引き継いだのは三男坊であり
親父と葬式談議に熱が入りタダで葬式を計画し、
棺桶を担ぐのだが、一人じゃ担げずどうしても担ぎ屋を
一人雇わなくてはならないと親父に言うと
「いや待て、担ぎ屋は俺がやる」と言うオチで終わり、
いつの間にやら下町風情に引き込まれてしまう。

中入りに入り休憩タイムに氷結を二本飲み干す。

「待ってました、喬太郎」喬太郎目当ての客が多いのは拍手で分かる。
ネタは遊び人が車屋をつかまえてもう一軒呑みに行くと言う話であるが、
最初につかまえたのは昨日退院してきたと言う爺さん、
牛歩より遅く車を引く演技に引き込まれる。

またこの爺さんしたたかで客にたかるのが上手い、
小さな演技の応酬である。
次は暴走族のような若者、演技は体中を使い座布団の上を転げ回る。
途中客の拍手は何度も起きる。
完全に客は喬太郎ワールドに引き込まれている。
ずっとこのまま腹を抱えて笑っていたい、そんな噺家である。

演芸場を出て三人で赤坂に飲みに行く。
そこでも落語の話は続く。
何となく落語と言えばジュゲムを思ってしまう。
息子に偉くなって欲しいと坊さんに息子の名前を依頼すると
とんでもない長い名前が付き池に息子が落ちて
友だちが親に伝えに来るのだが名前を言っている間に
息子が危うくなると言うオチである。

寿限無(じゅげむ)寿限無、五劫(ごこう)のすりきれ、
海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、
雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、
食う寝るところに住むところ、やぶらこ うじのぶらこうじ、
パイポパイポ、パイポのシューリンガン、
シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイの
ポンポコピーのポンポコナの長久命(ちょうきゅうめい)の長助。

この意味は「五劫のすりきれ」は「一劫というのは、
三千年に一度、天人が天下って、下界の巌を衣でなでるのだが、
その巌をなでつくしてすりきれてなくなってしまうのを一劫という。
それが五劫というから、何万年、何億年かかぞえつくせない」

「海砂利水魚」は「海の砂利も、水にすむ魚もとりつくすことが出来ない」

「水行末、雲来末、風来末」は「水の行く末、雲の行く末、
風の行く末、いずれも果てしがない」

「食う寝るところに住むところ」は「人間、衣食住のうち、
1つがかけても生きてはいけない」

「やぶらこうじのぶらこうじ」は「やぶこうじという木があって、
まことに丈夫で、春は若葉を生じ、夏は花咲き、秋は実を結び、
冬は赤き色をそえて霜をしのぐめでたい木」

「パイポパイポ〜」は「昔、唐土にパイポという国があって、
シューリンガンという王様とグーリンダイという王后の
あいだに生まれたのが、ポンポコピーとポンポコナーという
ふたりのお姫様で、このふたりが大変長生きをした」

「長久命の長助」は「天長地久という文字で読んでも書いても
めでたい結構な字で、それをとって長久命。長く助けるで長助もいい」

とても奥深い話である。

初夏のほろ酔い気分で寄席談議でした。


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