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何の因果で・・・キノコ編[2007年10月10日(水) ]
踊る尼さん

 今は昔、京都・北山に入った「木伐人」たちが山で道に迷い、座っていると舞いながらやって来る「尼人」4、5人に出くわす、という話が今昔物語にあります。<巻第28 尼共、山に入り茸を食ひて舞う語(こと)、第28>

 尼人たちは、木伐人たちが心配した天狗や鬼神ではなく、やはり道に迷い、仕方なくキノコを食べたら心ならずも舞いだした、と言いましたっ。
 木伐人たちも、飢えるよりは、と同じキノコを食べてやはり舞いながらなんとか家に帰り着いた、という話で「其れより後、このキノコを舞茸と云ふなり」。
 
 今昔物語にはほかにもいくつか茸の話しがあります。生きるという事のなかにユーモアが盛り込まれていたりして人の心は今も昔も変わらないところがけっこうあるな、と感じ入ります。

 ところで尼人たちが食べた舞茸は、現在市販されている舞茸ではなくて、いわゆるワライタケ、と解説にありました。手元のキノコの本にワライタケはありませんでしたが、ついでに毒キノコの話しに目を通していると、この程度は笑い話にすぎません。
 山の奥深くで踊る尼さんが出てくるほうがよほど不気味です。
 ですが、本当に恐ろしい毒キノコは身の毛がよだちます。

苦痛の極めつけ

 肝臓と腎臓の組織が破壊されて死に至る・・・タマゴテングタケ(「きのこ」山渓フィールドブックス)
 欧米では「死の天使」という異名を持つ・・・ドクツルタケ(同上)

 極めつけは「こと苦痛という点ではドクササコにかなうものはない」と山梨在住の画家、渡辺隆次氏が「きのこの絵本」(ちくま文庫)でその恐ろしさを紹介しています。

 ドクササコ。「秋、竹やぶ、コナラ林などの地上に多数群生し」(「きのこ」山渓フィールドブックス)、見た目は普通のキノコです。食べても初めは何でもないようです。
ところが4,、5日たって始まる中毒症状は「死んだほうがまし」と思えるすさまじさです。詳しくは「きのこの絵本」で読んでいただくことにして、さわりを少し。

 「手足のさきが赤くはれ、そこへ焼け火箸か針をさすような激痛が襲う」
それが昼夜を問わず1-2ヶ月続く、とのこと。読んでるだけも恐ろしさに震えがきます。

それでも茸が好きっ

 何の因果で人間にそこまでの苦痛を与えるのか。小さな存在にそんな疑問も浮かぶキノコではありますが、毒があるゆえにガキのころから興味がありました。

 というわけで秋の八ヶ岳山麓、茅野市の標高1000メートル付近を数日ぶらぶらした折、時々下を向いて歩きました。この時期、落ちている山栗の実は虫に先を越されています。しかしキノコは道のすぐそばの林で見られます。
 
 ありました。まるで三度傘。林の下にもう一つの林がるようです。このかわいらしい、あるいはとっぴな姿、形、たたずまいは見飽きません。




 でも自分で見つけた茸は採りません。絶対に食べません。毒かそうでないか、見分けるノウハウがゼロだからです。ドクササコの話を知ったらなおさらです。




 もし松茸、と思しきキノコをを見つけたら?食べたくなるでしょうね。今年は一回も口に入らなかったし。

Posted at 21:45 | 旅 日記 徘徊 | この記事のURL
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