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侍、戯作者、猫・・・谷中の徘徊その2 かな?[2008年02月11日(月) ]
 谷中の永久寺というお寺を目指して地下鉄千代田線は千駄木駅から三崎坂を登り始めました。先週金曜日の昼下がりのことで、振り向けば団子坂です。
 上り始めてすぐ左に菊見せんべい、右には江戸千代紙のいせ辰、その上には喫茶店の「乱ぽ」(ぽは歩の右上に半濁点です)。江戸川乱歩の大ファンのご主人がやっている、とても魅力あふれる店で、ジャンバラヤを食べたことがあります。

 さらに続々と現れるのが400年から350年以上の歴史を誇る由緒ある古刹です。江戸の三美人の一人(だそうです)、笠森お仙と彼女を錦絵で描いた絵師、鈴木春信の碑があるのは大円寺。お仙の碑に刻まれた撰は永井家風が書きました。お寺の二つの大きな屋根は見るからに重みがあり、修理中であります。



 その先には怪談「牡丹灯篭」で知られる落語家、三遊亭円朝のお墓がある全生庵。牡丹灯篭、東北の小さな町に一人赴任していて読んだのですが、夜中にカランコロンと下駄の音が・・・怖かったー。

 白梅が咲き始めた全生庵では剣の達人、山岡鉄舟、円朝、作曲家の弘田龍太郎の墓参りをしました。それぞれ語れば尽きない話題があるはずですが、浅学の身、矢田挿雲著 定本 江戸から東京へ第一巻(芳賀書店 昭和39年)からひとつだけご紹介させていただきます。

 鳥羽伏見の戦いに敗れて逃げ戻った徳川慶喜に対して山岡鉄舟が、
「貴方は恭順とみせかけて、なにか行(や)ろう、というんでしょう」
と、無遠慮な質問を発し、
「いや、そうではない。神明に誓って恭順するのじゃ」
と聞くと、その足で軍事総裁、勝安房を訪い(原文のまま)
「将軍の誠意を官軍に申達してくる」
といいだした。

 最後の侍、ともいわれる山岡鉄舟をして、西郷・勝会談を実現させて江戸無血開城への道を開いた、と。
 鉄舟の墓です。



 いせ辰でショーウインドウをのぞいたり寄り道をしながら坂をさらに上ると右手に白い線の入った黒いコンクリートの塀がひと際異彩を放つお寺。それが永久寺でした。仮名垣魯文が建てた猫塚と山猫の碑がある、との新聞記事を見て「見たい」と足を運んだ次第です。




 たどりつくまでに時間がかかるのは、200メートル足らずのこの坂に、江戸の、明治の、男も、女も、そして猫も、居心地が良いのでしょう、みんな勝手にいまなお徘徊しているとしか思えない、街だからであります。

 三門をはいるとすぐ、目指す猫関係の碑と塚がありました。左に「山猫めおと塚」。魯文が飼っていた夫婦の猫の塚で、その右に「猫々道人記念碑」。猫々道人とはもちろん魯文です。
 さらにその右にも碑があって猫の顔が。しかもよく見ると、猫の顔の目や髭は「魯」の字です。いたずら心いっぱいの、戯作者、魯文。お友達になりたかったなあと、ふと思いました。



 仮名垣魯文は、幕末から明治初期の戯作者、新聞記者で「安愚楽鍋」「西洋道中膝栗毛」など当時の世相や事件を題材にした滑稽小説などがあることを、教科書で習いました。谷中霊園の入り口、公衆トイレの脇に高橋お伝の碑がありますが、その世話役も仮名垣魯文。お伝をテーマにした戯作、芝居でもうけさせてもらったのでそのお礼と供養でしょう。役者も名を連ねています。

 が、魯文で愚生が注目しているのは

 「今古実録 延命院実記」(国立国会図書館のデジタルアーカイブより) 




 江戸城大奥を巻き込んだ大スキャンダルの、実録はいかに・・・ということで気になるところであり、延命院は今も谷中にあります。本は国会図書館のデジタルアーカイブにあるので、いずれご報告させていただきたいと。はい。

 三崎坂をほぼ上がったところに、左に入る細い道があります。この道こそ、界隈の常識である、出会い、ふれあい、老いも若きもおいしく、楽しい道ということを再発見しました。次回行きます。

Posted at 00:44 | 日記 徘徊 | この記事のURL
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コメント


無畏様

 お越しいただき、恐縮です。「江戸から東京へ」は、先日プランタン銀座の古本市で、3巻揃ってほぼ新品同様でありました。当時の定価の半額以下でした。それが高いか安いか、はわかりませんがぱらぱらとめくって楽しんでいます。
Posted by:丼ファン  at 2008年02月11日(月) 11:47

はじめまして、無畏(むい)です。
私も矢田挿雲著「江戸から東京へ」が愛読書です。
この著書の影響もあり、学生時代は都内の東西南北
をアチコチ散策しましたよ。
Posted by:無畏(むい)  at 2008年02月11日(月) 09:46

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