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天保元年創業の鰻屋へいくこと 桐生という町[2008年06月22日(日) ]
 東武浅草駅から特急りょうもう号で1時間40分弱。群馬県桐生市は、人口12万8000人余。かつて絹織物の町として西の西陣、東の桐生とうたわれた由緒も歴史もある同市は、関東大震災にも戦災にもあいませんでした。
 そう聞かされて週末、仕事で訪れた桐生市は4年前に来た時と空気が、雰囲気が違って見えました。織物産業でにぎわったころの蔵作りの家や工場、地域、通りを、古き良き時代の思い出を今に伝える町、桐生の顔として、売り出し中なのです。



 それもめざすは、大勢観光客が来ればよい、というけばけばしくうるさい観光地ではなく、郷愁とともに伝統と文化を楽しめる観光地作りを目指そうという心意気が、出会った方々から伝わってきました。愚生は思いました。
「こんなにいい町とは知らなかった。知ってよかった」と。
 そこで特急でも東京から2160円。タクシー代がさらにかかりますが、時間があればバスで街なかへいける桐生の探訪記を、本日から何回か書いてみます。最初はやはりおいしいものから。



 伝統の街にふさわしいたたずまいのこのお店は、本町3丁目にある、天保元年(1830年)創業という老舗の鰻屋「泉新」です。昼は午前11時から午後1時半まで。靴を脱ぐと、掘りごたつ形式の小さな個室に案内されました。木の家、古い火鉢、きれいな部屋。おいしさへの招待状のごとく、サービスの心が目に見えます。

 「メニューは一種類だけなのです。大きいのもありますが」
 「普通でいいです」
 待つこと10分たらず。
 「白いのはデザート。おいしいですよ」
 はい。いただきます。

 重箱の蓋をあける時がきました。カメラもわきにおいて、ジャーン
おっつ、こ こ この焼き色は、この香りは、そして普通にしてこのボリュームとは・・・
 


 一目見ただけでもわかりますね。これでおいしくないわけがない、と。
箸をつけたあとは、思考停止です。ひとことだけ申し上げましょう。創業以来の伝統を受け継ぐタレが、甘くなく深ーい味。ご飯もたっぷりありましたが、もう一つ食べたい、と本気で思いました。今こうして書いていても思います。しかもセットで2300円。
 デザートも、もうひうとつ食べたかった。


 ここのうな重は、戦後無頼派の小説家、坂口安吾も食べたことが、机の上にあった地元の新聞、桐生タイムスの記事で知りました。
 安吾はうるう年の1952年2月29日に桐生市に転居し、昭和28年8月20日未明、、酔って騒いだ安吾は警察の留置場に入れられたが、そこにも泉新の「うな重」を出前でとった、とありました。その1年半後の昭和30年2月17日に桐生の自宅で亡くなりました。


 ところで、愚生にとって忘れ難い鰻は、大阪・天満宮裏の「亀の池 浪速」のうな重です。一度焼いて熱湯をかけて余分な脂を落とす、という独特の調理法で秀逸な味わいでした。大阪に赴任した御同輩にも教えたところ、「すごくおいしい」と言ってました。

Posted at 19:57 | 食 関西ほか | この記事のURL
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