ごあいさつ
時々、唐突に本シリーズが入ります。20年ほど前のソ連・ロシアエコツアーの思い出です。忘れがたくて自身の備忘録のつもりで書いてます。でも機会があればまた行きたい極東の大自然への思いは今も持ってます。
初回は下記のURLです。もしご興味があればご照覧ください。
http://salon.stage007.com/hakkei/archive/52/0
それでは今回はロシア春夏脳炎の話題を中心に
大河アムールの大湿地帯に広がるソ連(当時)ヒンガンスキー自然保護区で、研究所が育てたタンチョウ夫婦のヒナが自然環境で初めて孵った翌日も明け方までは雨が激しく降っていた。
午前7時半 雨は上がった。湖の水位がまた数センチ上がっている。我々が来てから10センチ以上上がった。澄んでいるように見えるが「生で飲んではいけない」水だ。
<水位の上がった湖>
朝食は我々持参のインスタント味噌汁と硬く酸味のあるパン。さらに、キビをスキムミルクで炊き、バターで味付けした料理をオーリャさんがごちそうしてくれた。
わりとさっぱりしておいしい。日本じゃ白米一辺倒になっているが、ここではほかにヒマワリの種も炒って食べた。色々な穀物を食べるべきではなかろうか、と思ったきっかけである。
みんなタンチョウのヒナ「アラシコ」のことが気にかかっている。雨や湿度などこの一週間が心配なのだが、もっとも危険なのはカラスとのこと。
正午過ぎ、恐ろしいダニの話
ところで、研究所の人たちは常に長そで、長靴、長ズボン、森に入る時はあたまからすっぽりと頭巾をかぶる。われわれが出発前から聞いていたダニ除けのためだ。
ロシア春夏脳炎を知ったのは、出発前に読んだ「ビキン川にシマフクロウを追って アムールの自然誌」(ユーリー・B・ブランスキー著、千村裕子訳 平凡社1989年)という本にでていたから。
同書では、「ロシア春夏脳炎にかかっていると言われた。この病気はカやブヨで感染するものだ。真正脳炎との違いは、めったに余病が出ないということである」となっている。
念のために国立感染症研究所に問い合わせると「ダニのウイルスが媒介する脳炎。日本ワにクチンはない。ウイーンの森からシベリアの森に広く分布する」。
カやブヨで感染するのではないことはわかったが、ワクチンが入手できないとなると、体力=免疫力に頼るしかないの、とダニに食われないようにするしかない。でももし食われたら???
そこで保護区に一緒にいたウラジオストックのナチュラリストであるビエスラス医師にいろいろと聞いてみたけっかところ、次のことがわかった。
発症22人中6人死亡
ウラジオストックで去年ダニによる脳炎を発症したのは22人。6人が死亡した。治っても手とか首のマヒが残ることがある。タイガで働く人は普通予防注射をする。
ダニがいるのは木の上の葉の裏。下を人が通ると落ちてくる。脇の下とか下腹部、首の回りなど柔らかいところまで来て血を吸う。血を吸うと2-3ミリの体が小豆くらいに膨らむ。お腹一杯になったところで離れていくが、その際にゲップをしてウイルスを人の体に移していくのだ、とのこと。
しかし、2時間くらいかけて移動するのでタイガに入ったら2時間おきに体中を点検する。見つけたらもちろん取るのだが、「もしすでに食いつかれていたら?」。
「髪の毛を一本抜くんだ」とドクター。それをダニの口にくるくるとしばりつけて引っ張る。ダニは口を結わえられてるからゲップができない。ウイルスを体内に入れずに離すことができるはず、という。いいことを教えてもらったが、食われたくない。
後日、ダニに食われた人に会い、傷口を見せてもらった。小さな虫なのに大きく紫色の傷跡になっていた。ダニの口が銛のように逆さにギザギザになっているせいだ。
かくして、森の中を歩いた時は2時間おきにお互いに点検しあった。幸い1人だけ身体の上を這っていたのがみつかっただけだった。
もし熊に出遭ったら
保護区にはヒグマとツキノワグマが棲んでいた。クマに会ったらどうすればいいのか聞くと「決して逃げるな。体をうんと大きく見せることだ。それと大きなナイフを持っていれば懐に入って刺す」。
<ハバロフスクの極東博物館で>
確かに「ビキン川にシマフクロウを追って アムールの自然誌」には、ナイフ一丁でヒグマを倒した男の話がる。でも彼は腕のいい猟師だ。我々は大きなナイフもないし、ナイフがあっても懐に飛びこめるかどうか、また大きく見せてもたかが知れているし・・・遭ったらその時はその時、としか考えなかったっけ。
蚊に慣れたのか、この日ころからほとんど気にならなくなった。トイレのハエの蛆にも「頑張れよ」と声をかけたくなってきた。自然はいい。
時々、唐突に本シリーズが入ります。20年ほど前のソ連・ロシアエコツアーの思い出です。忘れがたくて自身の備忘録のつもりで書いてます。でも機会があればまた行きたい極東の大自然への思いは今も持ってます。
初回は下記のURLです。もしご興味があればご照覧ください。
http://salon.stage007.com/hakkei/archive/52/0
それでは今回はロシア春夏脳炎の話題を中心に
大河アムールの大湿地帯に広がるソ連(当時)ヒンガンスキー自然保護区で、研究所が育てたタンチョウ夫婦のヒナが自然環境で初めて孵った翌日も明け方までは雨が激しく降っていた。
午前7時半 雨は上がった。湖の水位がまた数センチ上がっている。我々が来てから10センチ以上上がった。澄んでいるように見えるが「生で飲んではいけない」水だ。
<水位の上がった湖>
朝食は我々持参のインスタント味噌汁と硬く酸味のあるパン。さらに、キビをスキムミルクで炊き、バターで味付けした料理をオーリャさんがごちそうしてくれた。
わりとさっぱりしておいしい。日本じゃ白米一辺倒になっているが、ここではほかにヒマワリの種も炒って食べた。色々な穀物を食べるべきではなかろうか、と思ったきっかけである。
みんなタンチョウのヒナ「アラシコ」のことが気にかかっている。雨や湿度などこの一週間が心配なのだが、もっとも危険なのはカラスとのこと。
正午過ぎ、恐ろしいダニの話
ところで、研究所の人たちは常に長そで、長靴、長ズボン、森に入る時はあたまからすっぽりと頭巾をかぶる。われわれが出発前から聞いていたダニ除けのためだ。
ロシア春夏脳炎を知ったのは、出発前に読んだ「ビキン川にシマフクロウを追って アムールの自然誌」(ユーリー・B・ブランスキー著、千村裕子訳 平凡社1989年)という本にでていたから。
同書では、「ロシア春夏脳炎にかかっていると言われた。この病気はカやブヨで感染するものだ。真正脳炎との違いは、めったに余病が出ないということである」となっている。
念のために国立感染症研究所に問い合わせると「ダニのウイルスが媒介する脳炎。日本ワにクチンはない。ウイーンの森からシベリアの森に広く分布する」。
カやブヨで感染するのではないことはわかったが、ワクチンが入手できないとなると、体力=免疫力に頼るしかないの、とダニに食われないようにするしかない。でももし食われたら???
そこで保護区に一緒にいたウラジオストックのナチュラリストであるビエスラス医師にいろいろと聞いてみたけっかところ、次のことがわかった。
発症22人中6人死亡
ウラジオストックで去年ダニによる脳炎を発症したのは22人。6人が死亡した。治っても手とか首のマヒが残ることがある。タイガで働く人は普通予防注射をする。
ダニがいるのは木の上の葉の裏。下を人が通ると落ちてくる。脇の下とか下腹部、首の回りなど柔らかいところまで来て血を吸う。血を吸うと2-3ミリの体が小豆くらいに膨らむ。お腹一杯になったところで離れていくが、その際にゲップをしてウイルスを人の体に移していくのだ、とのこと。
しかし、2時間くらいかけて移動するのでタイガに入ったら2時間おきに体中を点検する。見つけたらもちろん取るのだが、「もしすでに食いつかれていたら?」。
「髪の毛を一本抜くんだ」とドクター。それをダニの口にくるくるとしばりつけて引っ張る。ダニは口を結わえられてるからゲップができない。ウイルスを体内に入れずに離すことができるはず、という。いいことを教えてもらったが、食われたくない。
後日、ダニに食われた人に会い、傷口を見せてもらった。小さな虫なのに大きく紫色の傷跡になっていた。ダニの口が銛のように逆さにギザギザになっているせいだ。
かくして、森の中を歩いた時は2時間おきにお互いに点検しあった。幸い1人だけ身体の上を這っていたのがみつかっただけだった。
もし熊に出遭ったら
保護区にはヒグマとツキノワグマが棲んでいた。クマに会ったらどうすればいいのか聞くと「決して逃げるな。体をうんと大きく見せることだ。それと大きなナイフを持っていれば懐に入って刺す」。
<ハバロフスクの極東博物館で>
確かに「ビキン川にシマフクロウを追って アムールの自然誌」には、ナイフ一丁でヒグマを倒した男の話がる。でも彼は腕のいい猟師だ。我々は大きなナイフもないし、ナイフがあっても懐に飛びこめるかどうか、また大きく見せてもたかが知れているし・・・遭ったらその時はその時、としか考えなかったっけ。
蚊に慣れたのか、この日ころからほとんど気にならなくなった。トイレのハエの蛆にも「頑張れよ」と声をかけたくなってきた。自然はいい。

























あってたまるか 








