まっすぐ行くとやがて朝倉彫塑館があり、谷中銀座へ向う日暮里駅からの道に突き当たります。そこまでの道中、これまた物見遊山ぽの種はつきません。
「どうぞお入りください」
古い家をそのまま店にしている喫茶店から声をかけられました。食事前だったので「後でね」と断って先へいくと・・・
こんな建物や

そして、蕎麦屋「松寿庵」にはこんなメニューがありました。
「ご主人が考えたのですか」と奥さまに聞きました。
「25年前にお店を開いたとき二人で考えました」
「失礼しました。で、その心は?」
「ざるやもりはどこでもあるし、何か新しいものを、と思いまして」
確かに隣は谷中七福神の寿老人を奉安する長安寺。ここには狩野芳崖の墓もあります。ちなみに私の好きな河鍋暁斎の墓は、やはり近所の瑞倫寺にあるそうです。
七福神そば、ご利益にあずかりたく、もちろんいただきました。いただきながら、ふと店の奥に目をやると「手と入れ歯を洗うのはお断りします」と流しの上に張り紙が。そこで茶碗なども洗うのでしょう。
「入れ歯を洗うお客が多いのですか?」
「時々・・・」
店の入り口には客用の手洗いがあります。こちらには入れ歯を洗わないで、とはありません。入れ歯を洗いたい方はそちらでお願いしたい、と客としても思いました。
おいしいパンもありました
思いがけない内容の張り紙に、街歩きの緊張もすっかり解けて、お茶でも、と先ほど声をかけられた喫茶店へと戻りました。
ここです。
店の名は maqha & HAPPYF∞D
金曜日と日曜日だけの営業で、maqha はアラビア語でカフェの意味だそうです。パンをすすめられて、食べました。
小さい割にずっしりと重く、甘く味のあるとてもおいしいパンです。ビールのつまみにもぴったり。丁寧に一所懸命作っているのは、食べればわかります。ひとつ300円。また買いに行きたい。お店は夜はアルコールと食事が中心で、金曜と日曜以外はまた別の人が別のことをやっているそうです。
そこで考えました。
25年前に夢を七福神に託した蕎麦屋がある。今、パン作りやこの道に、街に夢を託している若者たちがいる。そういう街に惚れて通う人たちがいる。この道の、街の、キーワードは、夢なのだ、と。





