銀座6丁目の小さなビルの1階にかかっているこのメニューの前を通るたびに気になっていました。入ってみました。時に午後1時45分。
「いいですか」
ちょっと躊躇した様子がみえましたが「どうぞ。看板下ろしていませんでしたね」。
「太田さんちのハヤシライスって、店の名前が太田さんですか?」
「大正2年生まれの太田さんが作った、昔の味のままのハヤシライスです」
「じゃ、赤くてちょっと酸っぱいの?」
「酸っぱくありません。酸味をとる手間をかけます」
店の名前は「小(お)ぶね」。店内には、宝塚のポスターや色紙が一杯。
小ふねは、ママの宝塚時代の芸名だそうです。どうりで・・・
「たっぷりですね」
「男性用バージョン。女性用はもう少し少なくします」
酸味はありません。
「おいひい」
「今日はちょっと甘めね」
日によって甘さは違うことがあるそうです。
東京オリンピックの年にお店をオープン、ハヤシライスは21年前から。
「初めて食べていただいお客さんが今も見えるの。大正2年生まれの94歳よ」
値段はその時から不変の800円。しかし昨今の諸物価高騰は、困ります。
「肉代だけでも足が出そう」
たしかに牛肉たっぷり。おいしいわけです。
「でも無理しないで値上げしたら。銀座で800円はほとんどないでしょ」
「したいけど・・・」
夜はバー。宝塚ファンの女性客も多いそうで「カウンター全部女性ということもあるの。賑やかよー」
ママ自身もとても明るく声には張りがありますから、賑やかさでは決してひけをとらないと思います。
ところで、なぜハヤシライスなのでしょうか。丸善の創業者の名から、という説やhashed riceから、という説などがあるそうです。

