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緒方明監督の「いつか読書する日」[2005年11月13日(日) ]
今年のモントリオール世界映画祭(29回目)審査員特別賞受賞という映画、「いつか読書する日」を見た。映画も、好きだがこの頃は年に3〜4本も観ればいい方かもという状態だから、結構選んでみることにしていた。が、今回は友人に会うための付き合い鑑賞なのでさほどの期待もなく、強いて言えば好きな女優田中裕子や渡邊美佐子がどんな演じ方をするのか、また、必ず「2000年、『独立少年合唱団』でベルリン国際映画祭新人監督賞を日本人として初めて受賞した」と形容される緒方明監督とはどんな人でどんな描き方をするのだろうか位だった。
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描がかれていたのは、想いを殺して生きる田中裕子役と想いを寄せられ続けている岸辺一徳役の中年男女の不器用な恋。
やたらスピーディなアクションものが多くなったこのごろの映画だが、緒方監督は日本人が忘れかけたような単調で穏やかな日常生活の中での人間の心の動きや機微を、じっくりと撮って見せているのには感心。効果音の扱いも上手。唯、何故か親に虐待された子供が出てくるのだが、ちょっと中途半端な扱いで、この映画の主張との関連性も不明瞭で大いなる疑問と不快感が残ったのは残念。忙しい画面が苦手になってきた方には、お勧めの作品かも。

主人公は田中裕子演じる大場久美子。少女時代の恋を忘れることが出来ず、50才になっても独身のまま。そんな彼女は、長崎?らしきとてもきつい坂だらけの街で、朝は牛乳配達、昼はスーパーのレジ打ちで生計をたてている。そして、夜は読書を楽しんだり、ラジオに耳を傾けたりしながら、穏やかな日々を過ごしている。が、胸には強い想いを秘め押し殺しつつ、単調とみえる日々を淡々と毅然と生きている。能面のような表情の下に見え隠れする深い孤独と戸惑い、時折見せるはっとするほどの美しく清々しく愛らしくもある表情を極く自然体で、田中裕子は見事に演じ切っていた。
薄青い夜明けの町、なだらかな坂道、牛乳瓶のぶつかり合う音、市役所に通う
想い人(岸部一徳)とのほんの一瞬だけ交差する視線…。
端正な映像と美しい音楽が綴る、ぎこちなくて大切な、最初で最後の大人の恋。
気になった言葉:渡邊美佐子が「毎日、何が楽しいの?」と問えば「牛乳配達かな」更に「町中に牛乳を配りたいの」と。一寸の虫にも五分の魂、どんな仕事にも誇りや生きがいを感じ自分なりの場所で淡々と凛とした姿勢で生き続けることこそが人間の営みの原点だったのでは・・・と感じさせられた瞬間だった。

Posted at 00:28 | この記事のURL
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コメント


野乃花さんへ共感頂き、ありがとうございます〜。渡邊美佐子も田中裕子も、自然体風なのがいいですよね。皆、有名になりたいとか、名を残したいとかにしのぎを削っていますけど、もっと身近なところで誇りと充実感を味わって毅然と生きる人間が多くいて当たり前な世の中でいいのでは・・・と。ところで、野乃花さんのお名前の由来、伺いたいですね。野乃花がお好きだから?野乃花のように生きたいから?それとも???
Posted by:aroma3  at 2005年11月13日(日) 22:34

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