キンデルダイクの風車から向かった先はアントワープ。車で1時間も走れば、もうベルギーに入国。
ノートルダム寺院近くのフルン広場:観光客がゆったりとアントワープに浸れるオープンカフェがたくさん並んでいる
ヨーロッパはEUになってからは、国境で入国審査がなくなったので、道路標識を見逃せば、知らないうちに国境を越えてしまう。
旅行者にとっては待たされることはないので便利だが、なんとなく味気ない。かつては入国審査所の近くに両替所があって、通貨の両替をして頭の切り替えをした記憶もあるが、いまは両替の必要もない。
アントワープ市庁舎:16世紀半ばに4年かけて建設されたルネッサンス建築
さて、国境を越えて30kmもすればアントワープ。
アントワープといえば、日本では「ネロとパトラッシュ」の物語。
1975年に「「世界名作劇場(カルピス劇場)」でアニメ放映され、この時代に子育てをした世代には「フランダースの犬」でよく知られている。私も子供と一緒になってよく観たものだ。改めてこの場面を想像すると涙が出てきそうになる。
市庁舎広場の向こうに見えるノートルダム大寺院:14世紀半ばに
170年かけて建設されたベルギーで一番大きなゴシック教会。
ネロは念願のこの絵を見て息を引き取る。
その舞台となったのがノートルダム大寺院。
日本で有名なこの物語は、実はアントワープではほとんど知られていないという。
アントワープへやってくる日本人観光客がその存在に興味を示すことから、市の観光案内所で調査に乗り出し分かったというほどで、今は住んでいた町に「ネロとパトラッシュ」の銅像が建っているそうだ。
アニメでは、貧しいネロがドロボーの濡れ衣をきせられ、雪のなかノートルダム寺院にたどりつく。そこへパトラッシュも行先を察知して駆けつける。
息絶え絶えのネロが念願のルーベンスの名画「キリスト昇架」「キリスト降架」「聖母被昇天」の絵を見て、パトラッシュとともに息を引き取る。
ノートルダム大聖堂前の広場には、アニメの「ネロとパトラッシュ」が描かれた、高さ40pほどの円柱の記念碑があった。
ノートルダム寺院前の広場にある「ネロとパトラッシュ」記念碑
この記念碑は、「何か記念碑のようなものを」という日本人の思いに、当地では関心を示さなかったので、日本の企業がお金を出して造ってもらったのだそうだ。
しかし、風雨にさらされ、太陽がまぶしいせいもあって、そこに描かれた絵と文字(日本語と英語)はあまりはっきり見ることができなかった。
ベルギーではこういう悲しい結末は好まないし、また、貧しい少年をだれも顧みなかったことに、「ベルギー人はそんなことはしない」という思いがあるのだそうだ。
原作がイギリス人というのもあるかもしれない。
その石碑に駆け寄って、なでたり、写真を撮ったりしているのは私たち日本人くらい。
ノートルダム寺院を見学し終えて広場に出ると、欧米人観光客がベンチ代わりに腰をおろしていた。高さ、形からして記念ベンチなのかもしれない。
そのような使われ方は悲しい気がするが、、ネロが存在したことを知ってもらえれば、それでいいのかもしれない。