ハノイからハロン湾に向かう車窓には小さい田んぼが続き、バナナやとうもろこしなどの畑が時折見えたりし、とてものどかな風景です。年中暖かいので、稲作は二毛作で、この辺りは収穫した後でした(南北に長い地形なので田植えをしているところもあります)。
そんなゆったりした空気が流れる中、突然、まわりに調和しない瀟洒な建物の一帯があったりします。富裕層の別荘地帯で、週末に過ごすのだそうです。
ベトナムでは経済的格差が激しいが、特に農民はとても貧しいと、ガイドさんは淡々とした口調で話していました。通りかかった農村ではオートバイより自転車に乗っている人を良く見かけ、中学生も自転車通学でした。
ベトナムの教育制度は5・4・3制で、大学が4年(6年)。中学校は(もしかしたら都心の小学校も)、午前、午後の2部制だそうです。1、2年生は午前7時から11時30分まで。3、4年生が午後から。
【朝食風景】道路のあちこちで見られる光景です。ベトナムでは大抵、外で食べます。午後の部の中学生でしょうか。気持ちよく写真を撮らせてくれました。
この日は曇り空でしたが、朝の6時半はまだ暗く、7時頃ようやく明るくなりだし、すっかり明るくなったのは8時過ぎでした。だだ、バイクによる排気ガスでどんよりしているのかよく分かりません。
ですから、いまの季節は、薄暗いうちから学校へ向かうんでしょうか。
ガイドさんによると、小、中学校は義務教育だが教育費がかかるので、学校へ行っていない子どもが沢山いる。また、幼稚園は月謝が高いので、両親がある程度の収入がないと行かせられない、と言うことでした。
ガイドさんの子どもは幼稚園に通っているそうで、こんなやり取りもありました。
「その上、先生にお金を上げなければならないから大変です」
「えっ、それは、自分の子どもを可愛がってもらいたいからですか」と聞くと
「そうです。みんな、していますよ。」
「大変ですね」
「はい、ホントに大変です」
刺 繍 工 場
そんな話をしているうち、途中でトイレ休憩になりました。
建物の中に足を入ると、幼い顔立ちの男女が整然と並んだ机に向かって何かに熱中しています。近づくと、白いキャンパスに針を指して、刺繍をしています。
奥にはミシン掛けをしている女性もいます。
でき上がった製品も売っています。
ハロン湾の途中ですから、額に入った刺繍やアオザイの観光客相手の製造販売所であることは察しがつきます。
でも、どうして、こんな若い子達が作業をしているのか不思議でした。
車に戻ってガイドさんに聞くと、民間経営の身体障害者の作業場だという。
「中学生になると、オートバイ通学になりますが、自分でオートバイの運転ができない身体障害者はこういうところで作業をしています。お金持ちは親が送り迎えできますが、普通、親にそんなゆとりはありません。だから、身障者は中学校には行かず働きます。政府は身体障害者には何んの手当てもしてくれませんから、働かなければ食べていけません」と説明してくれました。
キレイに刺繍している男の子に「カメラ、OK?」と聞いたら、にっこり頷いてくれたときのようすが目に焼きついています。