山形に住む従弟が亡くなった。65歳を迎えたばかりである。
肺がんだった。入退院を繰り返していた頃、たまたま用事で山形に行って彼に会った。
「随分痩せてしまったな」 font>
「ちょっと強い風が吹くと、飛ばされやしないかと思うくらい軽くなったさ」 strong>
「長年勤め続けて来て、やっと年金貰い始めたばかりなんだから、いま死んだら奥さんが可哀想だ。生きようとしないと駄目だ」 font>
「そうだね」 strong>
このような会話を交わしながら、彼の運転する車ですし屋へ行った。
「二貫も食うとゲップが出てね」 strong>
イクラやタコ、アワビなどの硬いものは全部僕の器に寄越して、マグロとウニ、玉子焼きを食べて、もう腹一杯だと言った。それから3ヶ月後、彼の逝去の報せを受けた。通夜の席で、彼の顔を撫でた。そして、こっそりと謝った。
「お前に煙草を教えておきながら、僕が禁煙したのを知らせなかった。お前は吸い続けていたそうだな。僕がお前を殺したのかも知れないな。勘弁してくれ」 font>
痩せ細って、冷たくなった従弟は、じいっと聞いているように見えた。そして‥‥、
「たけおチャン、今更、もう遅いよ」 strong>
寿司3貫しか食えない元気のない声で囁く彼の声が聞こえたような気がした。
昨年のクリスマスを前にした今頃の話です。
肺がんだった。入退院を繰り返していた頃、たまたま用事で山形に行って彼に会った。
「随分痩せてしまったな」 font>
「ちょっと強い風が吹くと、飛ばされやしないかと思うくらい軽くなったさ」 strong>
「長年勤め続けて来て、やっと年金貰い始めたばかりなんだから、いま死んだら奥さんが可哀想だ。生きようとしないと駄目だ」 font>
「そうだね」 strong>
このような会話を交わしながら、彼の運転する車ですし屋へ行った。
「二貫も食うとゲップが出てね」 strong>
イクラやタコ、アワビなどの硬いものは全部僕の器に寄越して、マグロとウニ、玉子焼きを食べて、もう腹一杯だと言った。それから3ヶ月後、彼の逝去の報せを受けた。通夜の席で、彼の顔を撫でた。そして、こっそりと謝った。
「お前に煙草を教えておきながら、僕が禁煙したのを知らせなかった。お前は吸い続けていたそうだな。僕がお前を殺したのかも知れないな。勘弁してくれ」 font>
痩せ細って、冷たくなった従弟は、じいっと聞いているように見えた。そして‥‥、
「たけおチャン、今更、もう遅いよ」 strong>
寿司3貫しか食えない元気のない声で囁く彼の声が聞こえたような気がした。
昨年のクリスマスを前にした今頃の話です。
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at 21:16
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