シニア向けコミュニティ STAGE ステージ
50歳未満お断り! 紳士と淑女の知的コミュニティ (シニア向けコミュニティ STAGE ステージ) http://www.stage007.com

命を見つめる
若くはないのだから…は、心の叫び。
でも…と反発するのも、心の叫び。
両方をなだめながら、
曰く言い難い年齢を冒険中なのかも・・・

 | Main | 
プロフィール
<< 2008年11月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
リンク集
マフラー、手袋、財布[2008年02月16日(土) ]
虎ノ門から神谷町に向かう途中に、
マフラーが落ちていた。
舗道の真ん中に落ちているので、
歩行者は皆気づいては踏まないようにと、
よけて通り過ぎるものの誰一人拾おうとしない。
マフラーも嫌われたものだ。
拾って驚いた。
ブランド物だ。(ドルチェ)
交番に届けようか考えたが、
持ち主が落したと気づいてどうするだろうかを考えた。
今来た道を戻ってくるに違いないと思い、
近くのガードレールに結び付けておくことにした。
数時間後にはここを帰るので確かめることも出来る。
出来るだけ目立つだろうと思う場所に結びつけた。

しばらく歩いていると、
また落し物があった。
手袋である。
スエードの、決して安くないもの…
拾い上げてみるとやはりブランド物だ。(レノマ)
これも近くのビルまわりの手すりの目立つところにのせた。
…と、手すりの手前に植え込みがあり、
その下に財布らしきものが落ちて(?)いる。
拾い上げると、
これもダンヒルの財布だ。
失礼して中身を拝見…カードがすぐ目に付いたが、
札らしきものはない。
割引のチケットかクーポン券らしきものとレシート数枚…
詳しく見る必要もなかった。
小銭入れは多少膨らんでいる。
このまま近くの交番に持って行った方がいい。
手袋と並べておくわけにはいくまい…
…と、そのとき、
「すみません」
背中に声をかけられふりむくと、
財布と手袋の落し主だという。
見るからに実直そうな男性でもあり、
嘘はないと思ったが、
手袋は片手ですよというと、
「これです」
と一方の手袋をポケットから出して見せた。
間違いが無かった。
「で、財布には何が入っているか、
念のため、確認させてもらっていいですか?」
すると、○○のカードと、
○○のポイントカード、
500円硬貨と百円玉2枚、10円玉2枚、
100万の小切手が入っているという。
「・・・・ひゃ、ひゃく万?」
「何処に?」
…と渡すと、札入れの奥から取り出した。
さっきグルメのクーポン券か何かと思ったものが小切手だった。
間違いなく100万円の金額が捺されていた。
「気づきませんでした。
では間違いありませんね。どうぞお持ち下さい」
すると彼は、
「お礼といっては足りませんが、
コーヒーでもご一緒にどうですか」
という。
「いいですが…」
「さっき、そこのターリーでコーヒーを飲んだおつりがあるんです。
まだ二人分はありますから、ご一緒に如何ですか?」
この誘いを受けることにした。
確かに500円硬貨と百円玉の話をしていたので、
コーヒー代はあるはずだから…
丁度コーヒーでも飲もうかと思っていたこともあり、
おごってもらわなくても、自分で出せばいい。
「え、またターリーでいいんですか?」
「わたしは日に5〜6杯は飲むんですよ。
コーヒーの美味い不味いは分からないので、
お宅様が嫌でなければ、ここでどうですか?」
「勿論、ここで結構です。この店は初めてですが、
他ではターリーはよく入るんです」
「それはよかった。では…」
そんな会話を交わしながら、
二人座りの丸いテーブルで、
コーヒーのSを飲みながら会話が弾んだ。
そして、「何故あんな所で財布と手袋を落したのか」
「マフラーをしていないのに気づいて、
このバッグに入れたかなと、ふたを開けて、
あっちこっちを探したがない。そのときに、
バッグのうしろポケットに入れておいた財布と
手袋を落したらしい」というのだ。
「マフラー?」
「えゝ、女房に買ってもらったもので…」
「それ、ドルチェのマフラーじゃないでしょうね」
「えッ、どうしてそれを?」
「さっき舗道の真ん中に落ちていたのを、
ガードレールに巻き付けて来ましたから」
この話で、
「じゃあわたしは早速行ってみますので、
先に失礼します」
かれは半分も飲んでいないカップを手に立ち上がった。
「後に何かお礼をさせて頂きますので、
お名刺などお持ちでしたら」
と言われたが、マフラーを先に探しに行ってくださいと
マフラーを巻きつけた大体の場所を教えた。
「一緒に行ってやるのも億劫だし、
コーヒーも残っている。このまま座っていよう」
彼は何度もお辞儀をくり返して立ち去った。

おかしなことがあるものだ。
事実は小説より奇きなり…を地でいっている感じじゃないか、
などと思いながら、フッと思ったことがある。
あの財布を拾って、
100万円の小切手に気づいていたとしたら、
即座に交番に行こうとしたろうか…
少なからず、届けようかどうかを考えたのではなかろうか。
小切手は裏書が必要なのだろうか…
等々、考えているうちに、コーヒーも不味くなってきた。
出よう…

それから用を済ませて帰宅に着いた。
…と、前方からさっきの男性がこっちに歩いてくる。
首にはちゃ〜んとマフラーが巻かれていた。
何とはなしに満ち足りた表情をしていると思えた。
すれ違いに挨拶を・・・と思ったが、
彼は僕に気づかないようであった。
…というよりも覚えていなかったのかもしれない。
ただの行き交う人々の二人として夫々に行き違った。

これでいいのだ。
そんなことを考えながら、
すき家に入って、サービス中の牛丼と納豆、青ネギを食べた。
彼は小切手を現金化しなければ現金は数百円しかないはずだ。
しかし、あの満足感に浸ったような顔つきは、
小切手の顔じゃない…現金の顔だ…こんなことを思いながら、
霞ヶ関から溜池を通り、家へ帰ってきた。
昨日の不思議な体験である。

Posted at 11:25 | この記事のURL
コメント(8) | トラックバック(0)

この記事のURL

http://salon.stage007.com/header1008507/archive/83/0

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://salon.stage007.com/header1008507/tb_ping/83

コメントする

名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク

コメント


ちびまるさん
その通りです。僕にも経験がありますから、
現金だけ抜き取って捨てられたものかな…?
そのような思いに入るか入らないかの咄嗟の瞬間、
背に声を感じたんです。だからよかったとも言えます。
そうでなければ、様々な雑念が脳裡を駆け巡ったかも
知れません。何処のクレジットカードだろうとか。
ポイントカードだけはオフィスデポのものだとすぐに
分かりましたが。お金は元から入ってなかったようです。
ターリーのコーヒー2杯分はあるはず…
彼が持っていた現金は1,000円だったんです。
ダンヒルの財布に・・・
Posted by:豪  at 2008年02月16日(土) 23:20

Earl Greenさん
あらまァ、そのマフラーに出会う前に三菱東京に寄って、
お金を下ろしているんですよ・・・。
…ここでもまたまたの奇遇ですね。
コメントを頂かなければ分からなかったことです。
可笑しなものです…これを考えると、人の生い立ちや
行動範囲を手繰っていけば、何処かでみんなが繋がって
いやしないかと思えて来ますね。
でも「マフラー氏」今度会って「然々斯く斯く…」と
申し上げたら、覚えていますかねェ?
案外あの近辺に住んでいるはずの紳士に思えますが…
Posted by:豪  at 2008年02月16日(土) 23:10

不思議な体験ですね〜。
マフラーが歩道の真ん中に落ちていても、みんな避けて通って拾わないのも不思議。マフラーを探すのに、手袋と財布を落とすのも不思議。それが、全部同じ落とし主だったことも不思議、手袋と財布が植え込みに…で事件かと思いました。お札が入っていなかったのは、抜かれたのではなく、元からなのかしら?
Posted by:ちびまる  at 2008年02月16日(土) 21:53

はじめまして。
私は虎ノ門の交差点の角(現みずほ銀行用地)で
生まれ育ち、弁慶橋や金毘羅様の境内で遊んで
過ごしたので、懐かしい地名に惹かれて拝読させて
いただきました。
私も落し物に気がついたらきちんと拾って一段高い
所に「掲示」する様心掛けています。他人にどう
思われるかではなく、自分はどうすべきかを物差し
にしようと。
「マフラー氏」の満足げな表情は、奥さんから贈ら
れたお気に入りのマフラーを失わずに済んだこと、
無くして残念だったのが思いがけず戻ってきたこと
によるものと微笑ましく感じます。お金や小切手の
ことよりも、奥さんからの贈り物を無くしたことを
気に病む人なら、友達になってみたいな、などと
ふと思ってしまいました。
Posted by:Earl Green  at 2008年02月16日(土) 17:40

遊歩さん
いやいや、財布もダンヒルですし、拾った瞬間は、
うん万円は入っているかと思わず息を呑み込みそう
になりました。…が、手にした途端に軽かったので
冷静になれたのだと思います。100万円の小切手
なんて思ってもみませんでしたし…でも最初から
気づいていたらどうだったか分かりません。
Posted by:  at 2008年02月16日(土) 17:09

豪さんへ
拾い主が豪さんで良かった。サシズメ私ならマフラーと手袋は自分用にしたくないからそこらへ引っ掛けておき、財布は・・・どうしよう、まだ迷っています(笑)
Posted by:遊歩  at 2008年02月16日(土) 15:41

ぶるーむーんさん
僕にも、その人がどんな人なのか分からずじまいです。
後ですれ違った時の表情を見ると、実は満足感という
以上に、現実感の希薄な感じに見えましたね。

ぶる−むーんさんの拾ったバッグの主は、
カード払いの人じゃなかったのでしょうか。
その人にとってのぶるーむーんさんは神さま同様に
思えたのじゃないかと思いますよ。
昨年暮に僕が財布をなくして届けてもらったときは、
この世に神さまはいると思えましたもの。
Posted by:豪  at 2008年02月16日(土) 15:12

どのような生活の方でしょうね。
ドルチェといい、100万円といい、
無造作ですよね。私みたいな庶民は
100万円なんて大金ですよ、もっと大切に
扱いますけどね。
前に足柄パーキングサービスで男性のバックを
届けたときに、全てを放棄しますという書類に
サインをして帰宅しましたが、数日後、3万円の
現金がその方から届きました。なかには現金は
見当たらなかったような気がしましたが、カードが
沢山入ってました。助かりましたとお礼状が入ってました。
Posted by:ぶるーむーん  at 2008年02月16日(土) 14:14