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店は客のためにある  [2006年09月17日(日) ]
【店は客のためにある】 (48)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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      店│は│客│の│た│め│に│あ│る│
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□□     2006/09/17 
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1.商売は勝負ではない
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【1】 商売は勝負ではない


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「勝ち組」・「負け組」という言葉が使われ始めたのはいつの頃からでしょうか。イヤな言葉です。誰もが知恵を絞って、精一杯の商いをしているのに、巨大化し、小さなお店を呑み込んで、次々と新しいお店を展開し、時の人となった社長や店主を指して「勝ち組」というのでしょうか。

 確かに彼らが、素晴らしいアイデアを出して、新しいビジネスモデルを構築し、短期間でビッグカンパニーに成長させた手腕は評価しなければなりません。しかし、そのことをもってあたかも人生の勝利者のようにマスコミがもてはやす姿勢というのはどうにもいただけません。

 時代の寵児となってジェット機を買ったり、数億円のマンションに住んだりすることは、お金があればそれは個人の自由だし、他人がどうこう言うべきことではありません。それを「覗き見趣味」のようにテレビが追いかけて、出来の悪いタレントに「ああ何て素敵なの」などと言わせるから世の中がおかしくなるのです。

 お客さまが、「この店で買えてよかった」と喜んでくださり、その笑顔と感謝の気持ちを全身で感じ取ることができたら、それこそが商人の醍醐味というものではないでしょうか。お金の多寡ではなく、満足がいっぱい詰まったお店の繁盛する姿が、店主と店員の幸せであることをもっともっと紹介していかなければなりません。

 商売というのは、誰かに勝つためにあるのではないから、負けるという相手方などがあるのが不思議なのである。

 商売というものは、お客さまのためにあるのであって、相手と考える唯一のものは、そのお客さまなのである。地域社会の人々のために行うサービス、その人々の生活の幸せを築くお手伝いが、商売の本体でなければならない。さまざまなお客様の希望を達成させて差し上げるのが商売なのである。

 母親が子供の幸福のために尽くすのに「勝ち負け」があろうはずのないように、「成功と失敗」はあっても、商売には勝つも負けるもあるはずがないのである。

 ただひとつ、お客のために「善いことか」「悪いことか」があるだけである。諸君はこのことをどう思うのであろうか。

 競争が激しいから、「損も得もない」とか「善悪なんていちいち考えてなんかいられるものか」とでも思っているのではあるまいか。

 商人がお客をそっちのけにして、お互いに戦う、競争する、はては喧嘩する──ということは、勝っても負けても、「知恵」と「力」の消耗だけである。

(商業界二十年より)




 話は変わりますが、平成20年から政府管掌健康保険(中小企業に勤める人の健康保険で、大多数の国民がこの保険の被保険者です)の保険者が、国から地方自治体に移ることをご存知ですか。

 高齢化が進んで健康保険制度が破綻寸前となり、しかも社会保険庁の職員のだらしなさや腐敗が明るみに出るに及んで、政府は「国から地方へ」と言えばもっともらしく聞こえますが、要は「自分たちで考えてね」と制度を投げ出してしまったということでしょう。

 そこでどんな事態が発生するか。

 東京のような財政力のある自治体はともかく、四国や山陰、北海道、東北地方など財政が窮迫している自治体は保険料を高くせざるを得ないということになります。しかも、医療設備も不十分。ついに、健康保険の世界も、住む場所によって格差がついてくるということなのです。

「健康保険にも勝ち組・負け組の世界が来る」と早くも囁かれていますが、こんなことでいいのでしょうかね。

 愛するふるさとがいよいよ住みにくくなるなんてイヤですね。

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店は客のためにある  [2006年09月09日(土) ]

【店は客のためにある】 (47)


正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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      店│は│客│の│た│め│に│あ│る│
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□□     2006/09/9 
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◆◆  目   次  ─────────────────────────

1.孫悟空の戦術
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【1】 孫悟空の戦術

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 孫悟空が、イザ大敵というとき、ひと掴みの髪の毛をむしってプッと息を吹きかけると、そこに無数のまったく同型の孫悟空の分身たる化身が生まれる。

 中国の奇伝小説『西遊記』に何回も同じ場面が出てくる物語である。あの戦法が支店からチェーンへの基礎理論である。人間の赤ん坊は1年間に約3倍に育つが、成人してはそうはいかない。商店だって同じことだ。

 どしどし産め、何年か前の自分と同じものを作れ、1、2年で2倍、3倍に伸び、やがてオヤジそっくりに成人する。

 それが基本的あり方と、誰にも判りそうなものなのにもかかわらず、日本中の商店を見渡すと、繁昌しているお店がところかまわず大きな店、小さな店と、チェーン化と称してやたらに店舗を増やすのが目につく。それで四苦八苦しているお店があるが、賢いお店は早くも標準規模というか、自店の性格としての適正規模と適正条件とを発見したかのようである。

 それでこそ、昔の空想小説の孫悟空のまねごとが現実にできるというものだ。

(商業界二十年より)



 チェーンストアオペレーションという言葉があります。もともとは米国で考案された販売の手法で、消費者の購買力が高まるにつれ、大量生産された製品が大量に消費されるためには、物流面においても店舗立地においても、あるいは商品陳列の手法や接客技術さえも、一定の理論と法則にしたがって展開されていくとする考え方です。

 日本でも1950年代からこのような考え方が普及し始め、中でも渥美俊一先生が唱えた「ペガサス理論」はダイエーやイオンを始めとする大手流通業ばかりでなく、チェーン化を目指すあらゆる業種業態のバイブルのような理論となりました。

「作れば売れる」時代はまさに、大量に生産された商品をせっせと消費する消費者によって支えられていたのです。

 しかし、世の中に商品があふれ、消費者が「本物」を求めるようになると、マニュアル通りの店舗や、陳列・接客では消費者が満足しなくなり始めました。この流れに対応できなくなったチェーン店が次々と姿を消すか、事業の縮小、吸収合併という淘汰の時代に呑み込まれ始めました。

 先ごろマスコミを賑わした紳士服大手の「アオキ」が、九州の紳士服チェーン「フタタ」の買収を目論見ましたが、同業の「コナカ」の抵抗にあい、計画を断念するという事件がありました。

 製紙業界最大手の王子製紙が同5位の北越製紙を経営統合しようとした際も、業界2位の日本製紙などの抵抗があってTOBは失敗に終わりましたが、上の二つのような事件を見ておりますと、経営者のモラルといいますか、そこに働く従業員の「こころ」を慮る気配りといったようなものが完全に欠如しているような気がしてなりません。そんなことでは思惑通りに相手企業を呑み込んだとしても、その後の経営に良い結果が生み出せるとはとても思えないのです。

 孫悟空の物語は、自分の髪の毛をプーっとひと拭きして自分の分身を何人も出現させて敵をやっつけることになっていました。つまり、思考能力や行動規範が孫悟空と全く同じもう一人の孫悟空たちが活躍したのです。

 今、M&Aにうつつを抜かす人たちは、相手先企業に自分の分身を送り出そうとか、育てようという気はさらさらないように思えます。

 チェーンストアオペレーションで見事に成功した企業を見ておりますと、お店で働く店員さんたちが、マニュアルではない人間らしさを失っていないことに気がつきます。

Posted at 14:07  | この記事のURL
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店は客のためにある  [2006年09月03日(日) ]

【店は客のためにある】 (46)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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      店│は│客│の│た│め│に│あ│る│
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□□     2006/09/3 
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◆◆  目   次  ─────────────────────────

1.山高きを以て貴しとせず
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【1】 山高きを以て貴しとせず

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 10日ほど前の日経の記事に「米タワーレコードが連邦破産法11条を申請」というショッキングなニュースがありました。タワーレコードといえば、世界最大の音楽メディア企業として知られ、日本でも東京を始め国内の主要都市で大型の店舗を展開しています。

 高知に住んでいた頃、5年くらい前ですが、県内では老舗であった衣料小売店の社長が、中心商店街にある本店の業態変更に着手し、タワーレコードに出店の交渉をしたところ、人口40万人程度の高知市では出店のメリットがない、と断られ、やむなく業界2位のサムグッディに交渉先を変更、開店にこぎつけたというエピソードがありました。

 このお店は2年くらいで売上不振のため閉店となるのですが、タワーレコードの判断が正しかったというよりも、音楽産業の中に占めるCD、テープ、レコードの位置づけが大きく変わろうとしている予兆ではなかったかというのが今回のタワーレコードの破産で考えたことでした。

 今や音楽はネットから取り込むというのが若い人たちの間では当たり前になり、CDの販売は減少し始めています。新譜であれ、定番の音楽ソフトであれ、これからはほしいと思う作品の購入の仕方が大きく変化してくることでしょう。フルラインナップの大型CD店やネットショップが販売の主流になることは当然としても、根強い愛好家を持つ演歌や、特定のジャンルにこだわりを持つマニアックなお客さま、ヴィンテージものやインディーズものを探している人たちには、むしろ品目を絞り込んだ個店にお客さまの人気が集まることでしょう。原宿の裏通りにある特徴的なお店が、音楽小売の世界でも出現するということではないでしょうか。

 大きな組織の企業を管理して成功してきた人びとのことは、みんなには偉大な商人として目に映る。ある意味では確かにもっともであり、当然である。

 が、巨大ではないお店でも、これを理想的な自分の職業として楽しく経営している人々のうちにも、ずいぶん立派な商人がたくさんいるのを見落としてはなるまい。

 人はとにかく、巨大な航空機の組み立て工を、小さな腕時計の組み立て工よりも偉いと思い込むような錯覚に陥りやすいものだが、商店の経営者についても、同じような眺め方をしてはならない。

 西洋には「Big is Bad」という諺があるほどである。ラジオやテレビも小さいのが精巧であり、コンピュータも小型で性能が高いのが優秀と評価される。「大男総身に知恵は回りかね」という言葉もある。

 巨大なのが立派でも、巨大だから強力なのでもない。

 何百年も前から、日本人が読み書きの教科書としてきた『実語教』の第一行は、実に「山高きを以て貴しとせず」という言葉から始まっていたことを思わなければいけまい。

(商業界二十年より)

「大きいことはいいことだ」と言って指揮者の山本直純さん(故人)がアドバルンに乗って空から指揮棒を振るチョコレートのCMがありました。今から30年も前のことです。高度成長時代、まさに日本全体が国家的規模で膨張を続けていた時代でした。

 その後、世はハイテクの時代となり、マクロよりミクロ、極小の技術に挑むナノテクノロジーがもてはやされるようになりました。

 今はどうか、「大きいこともいいことだ。小さいこともいいことだ」

 大と小とが融合した技術、宇宙開発であれ、鉄道技術であれ、小指の先ほどの小さなチップに情報を満載し、それが数十万個も集まって巨大なプロジェクトを進行させています。

 大も小も巧みに使い分けコーディネートする技術、最近よく耳にする「コラボレーション」の時代になったということでしょう。

Posted at 09:32  | この記事のURL
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店は客のためにある  [2006年08月26日(土) ]

【店は客のためにある】 (45)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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      店│は│客│の│た│め│に│あ│る│
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□□     2006/08/25 
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1.なますを吹くなかれ
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【1】 なますを吹くなかれ

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 皆さんご存知かもしれませんが、はじめにことわざの意味を御菓子司《とらや》さんのホームページから寸借致します。

 羊羹の”羹“の字は単独では「あつもの」と読みます。そして、中国ではスープのことをさします。「羹にこりて膾を吹く」ということわざがありますが、これも熱い汁で舌をやけどしたので、膾のような冷たい料理までフウフウ吹いて冷ます、つまりは無益な用心を笑うものです。

 では、なぜお菓子の羊羹が「羊の汁」という意味の字なのでしょう。 これは、日本に羊羹を伝えた禅僧たちが、羊肉(または羊の肝)の代わりに小豆や小麦粉などを蒸し固めるなどして似た形、似た色の精進料理を作り、それがやがてお菓子としても供されるようになったという解釈です。

 実際、16世紀に書かれた史料に登場する羊羹は「箸で割って食べ、汁も飲む」と書かれていますから、この頃までは本来の”羊羹“の形態を留めるものがあったようです。

 紀元前に記された中国の『史記』には、戦を前に羊羹を作り配ったところ御者に行き渡らず、怒った御者が将軍を乗せたまま敵陣に走り、羊羹一つで戦に負けた逸話も残っています。さて、それほどのご馳走だった”羊羹“とは、どんな食べ物だったのでしょう。ちょっと味見してみたい気がしませんか?

 不況の中、倒産ブームであおりを食って、手痛い不渡りを食った商人がいる。再起不能と自分で判断して、出来るだけ他人に迷惑をかけまいと、自主閉店に努力して、やっと重い始末を終わったという人もあった。その反対に、ものごとを甘く見たために自分の不始末でつぶれた店もある。

「傷は浅いぞ、しっかりしろ」というだけでは間に合わないのだった。

 だが、記憶せよ、人間一生のうち大怪我をしたことのある者の例は多い。仕事の上でも、一度も失敗したことがないなどという人は、先ずないのが当たり前であろう。でも、そうした人でも、今や元気でいる。傷ついても、しっかりやっている人もある。先は長いのだ。いつかは取り戻すばかりか、その経験がものを言うことすらあるのだ。

 マーク・トゥェインの小説に「大事故を起こした貴重な経験者だから、この機関士の首は切れない」というのが骨子にあったが、時に失敗者の持つその経験は貴重である。

 無傷にこしたことはないが、羹にこりてナマスを吹くことなかれ。

 信念に基づく勇気をくじくようなことがあってはならぬ。頼む。

(商業界二十年より)

 たくさんの失敗をしでかして公開することの多い人生ですが、かといって「あの失敗に懲りたからもうチャレンジするのはやめよう」と思ったことは一度もありません。同じ失敗を繰り返すと「アホ」と言われますが、失敗を教訓として次のステップを踏み出して、そこでまた失敗をするのなら、それはそれでまた次なるチャレンジのネタを仕込ませていただいたと考えて感謝します。

 そんな人生を繰り返してきて、家族には楽しい思いのひとつもさせてやれなかったなあと反省をすることもありますが、そこは考え方次第、「1回きりの人生で波乱万丈の貴重な経験、結構面白かったでしょ」……そう考えればまた次の目標にチャレンジする勇気がわいてきます。

 若い世代で驚くほど斬新な発想で新しいビジネスにチャレンジし、大成功を収める姿を見ていますと、将来がとても楽しみになりますが、一方でナマスを吹くどころか、羹にもナマスにも全く無関心という若者が結構目に付くのも気になります。「厭世」なんていう格好いいものじゃあなくて無気力の塊みたいな人、こういう人たちに目的意識を持たせるのって結構大変ですね。

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店は客のためにある  [2006年08月20日(日) ]

【店は客のためにある】 (44)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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1.古いとて捨てるナ
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【1】 古いとて捨てるナ

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皆様、お盆はいかがお過ごしでしたか。
私は久しぶりに高知に帰省して、家族と楽しい夏休みを過ごして参りました。

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 近頃では通信販売やインターネット販売で世の中すべてがまわるような錯覚に陥ることがあります。しかし、このようなインターネット時代になったからといって、大規模小売店や商店が全くなくなるわけではありません。たった1店舗の小売店であっても、中小の小売業或いは卸売業であっても、お客さまの満足を求めてやまぬ限り、存続・発展の可能性が大いにあるということです。

 小売業の店員とお客さま、或いは卸売業の営業員と小売業の方々とのコミュニケーションは今後ますます重要になってくるでしょう。情報受発信といっても、小さな小売店や卸売業では、IT化による単なる時間節約ではなく、店員や営業員の質が高まるような血の通った情報の質を高めることが必要だと思います。大手と違って、中小企業の営業員が携帯情報端末をちらつかせたところで、商売が広がるとは思えないからです。店員或いは営業員の人間味を前面に押し出し、情報端末は自宅で操作する程度の後方支援型にすることが温かい企業情報化だと考えます。

 ワインは古いほど良いというが、古いからといってみんな良いワインだとは限らない。日本酒にも古酒があるからといって、とっておけば古酒になるわけではない。

 商売のやり方にも、昔から今まで変わらないのがいろいろにある。だからといって、古いのがみんな悪いことでもない。真実であるが故に、昔も今もなお、すたらないやり方というものも多いのである。
それは古酒が稀に高価であるのと同様に、またあたかも多くの金言などに千古不滅のものがあるに似ていよう。

 なるほど商店経営の技術などは、日進月歩といってよいほど新しく改革されているけれど、それを貫く真理のようなものは不変である。つまり、商売にも「愛」と「真実」が忘れられてはならないというようなことが、その証拠の一つといってよろしかろう。

 機械化・自動化・電子化なども、売り方にどんどん取り入れられていきつつあるけれど、それが人間疎外の方向をたどるようでは、商売の本質にもとることになるのを忘れてはいけない。

 売るのも買うのも、所詮は人間の基本的な営みであるからである。

(商業界二十年より)

 伝統的な風呂敷や日本手ぬぐいが見直されています。

 風呂敷は古来より、物を包むための生活用具として用いられて来ましたが、何でも包めて地球にも優しくエコロジー商品として、柄も美しくおしゃれアイテムとしても若い女性にまで人気が広がってきました。

 イオンや平和堂などは、年内にも特定の地域からレジ袋の有料化を進める予定だそうですが、そうなればいよいよ日本独自の風呂敷や巾着袋が重宝される世の中になりそうです。

 京都に《宮井》という風呂敷、袋物の会社がありますが、最近はとても元気になりました。呉服業界や和装小物業界はずっとジリ貧が続いていましたが、こんなところから業界の活性化につながる芽が出始めたらよいのになと思います。

19979_o.jpg

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店は客のためにある  [2006年08月05日(土) ]

【店は客のためにある】 (43)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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□□     2006/08/05 
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1.何が曲がっているのか
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【1】 何が曲がっているのか

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 以前、雪印乳業や日本ハムがお客様のことを考えない身勝手な行動をしたために、業績を大きく落としたり、永い歴史に培われた由緒ある社名を捨てなければならなくなったことを書きました。

 会社経営も人間がすることですから、たまにはとんでもないことをしでかす馬鹿な会社もあるとは思いますが、今度の《パロマ》の事件はちょっとひどすぎますね。

 都市ガスが普及していない地方都市では、かつて『パロマの瞬間湯沸し器』と言ったら「コックをひねるだけでお湯が出る」魔法の機械のようにもてはやされていました。生産が間に合わない状態で、同社の急成長の原動力になった製品でしたが、その製品の安全装置に当初から問題があったと言います。寒い地方では湯沸し器が使えないと困るからという理由で、サービスマンが安全装置がはたらかないように不正な改造をすることが多かったと言います。

 パロマ社では当初、「死者が出たのは不正改造をした業者の責任」と、二代目社長がえらい鼻息で語っていましたが、問題の根は自社の製品の欠陥であることに気がついていたのかいなかったのか、次々と真相が明るみに出るにつけ、同社の抗弁も二転三転まことに見苦しい限りであります。

 冒頭の2社や先頃の耐震疑惑マンション事件と違い、今回は死者が20人も出ていることから、同社の社会的制裁は避けられないと私は睨んでいます。このブログの読者に同社関係の方がおられましたら申し訳ありませんが、場合によっては会社がなくなることもあり得るほどの事件だと思うのです。

「現代は病める時代」だという人がある。世界が病んでいるのであろうか。そこに住む人間が病んでいるのであろうか。

 私は、病める人間たちがその世界を作っているから、そして、病んでいる人間たちの世界だからこそ、その時代そのものを病めりと見るのだと思う。

 人間は、腹が痛んだり、腕が曲がったりすると、すぐ大騒ぎして医者に駆けつけるが、自分の心が病んだり、ヒン曲がってしまっていても、いっこうに気がつかぬもののようである。

 そして、その曲がった心で世界を眺め、ああ時代は狂ってしまったという。

 曲がっているかどうかを知るには、はじめに正確なレンズやモノサシなどが要るが、それを観測する心や眼の方がまず真っ直ぐでなくてはダメだろう。

 商売のあり方一つについても、何が正しいか正しくないかを判断するのに一番大切なことは、レンズやモノサシよりも、やはりあなたの心が真っ直ぐであることである。

(商業界二十年より)

「何が正しいか正しくないか判断するための真っ直ぐな心」と言いますと、どうしても北朝鮮の指導者のことを思わずにはいられません。あの国の指導者たちは判断する分別というものをもともと持ち合わせていない猿以下の人種だと思います。

 可哀想なのはそんな恐ろしい国に生まれてしまった国民であって、彼らには何の罪もないのに何ゆえにああまでして極貧の生活を耐え忍ばねばならないのか。

 国家と商売では物差しが違いますが、人間の本質という点では同じだと思います。

 小さなお店であっても、お客様と真正面から向き合い、ウソをつかない店主と店員さんがいるお店は必ず繁盛します。

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店は客のためにある  [2006年07月29日(土) ]

【店は客のためにある】 (42)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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1.人間の味
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【1】 人間の味

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 さてさて、大変ご無沙汰をいたしましたことをまずもってお詫び申し上げます。7月4日にパソコンが壊れまして、新しいパソコンが到着するまでの間、とっても不自由致しました。お蔭様で先週の土曜日に最新のパソコンが到着し、初期設定やら古いパソコンのデータ投入やら、ようやく落ち着いてきましたので今日からSTAGE50に復帰ということになりました。これからもよろしくお願い致します。***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

 類まれな悪筆である私は、今から20年くらい前に『ワードプロセッサー』なるものが世に出たとき、これこそ自分にとっての救世主とばかり、当時の価格で10万円ほどもした「リコーのワープロ」にとびついたものでした。ディスプレイがたったの1行で、文字の表示も全角で20文字程度、しかも外部記憶装置はなし。印字はリボンまたは感熱紙という代物でしたが、それでも当時の日本では画期的な商品で、リボンがジーコ・ジーコと右左に動くたびに1行ずつ印字されていく文字を見ていると、あたかも初めて見る芸術作品に、心が震えるような感動を得るのと似たような気分になったことを覚えています。

 以来20年、ワープロはパソコンに代わり、外部記憶装置も今では1ギガバイトに迫り、印字もフルカラーのレーザープリンターの時代になりました。文字のフォントも毛筆書体が現れ、年賀状や感謝状のような毛筆が要求される文書にも簡単に対応できるようになりました。

 革命的な技術の進歩に付いて行くのも大変な時代ですが、一方でこういう時代だからこそ肉筆による手書きの文書や、絵手紙が見直されてもいます。洪水のように配達されるDMや電子メールとは違い、1通の便りに旅先で書かれた絵があったり、書いた人の人柄が偲ばれる優しい筆使いなどに触れますと、思わずその人の笑顔が思い出されて幸福な気分になってしまいます。

 ビジネスの世界でも、初対面のお礼やもてなしを受けたときのお礼では「3日以内に自筆で」というのが鉄則となっており、これを励行する人としない人とで、その後のビジネスに大きな違いが出てくると言われています。

 20年間、技術の進歩に便乗し続けてきた私も、この歳になってまたしても自分の悪筆を呪わしく思う場面に直面するハメとなりました。

「あきらめるには早過ぎる。やりなおすには遅過ぎる」という中年サラリーマンの悲哀を表した言葉がありますが、「なにくそ」と再び鉛筆を握り締める私であります。

 セオドール・ルーズベルトがニューヨーク州知事だったころに秘書だったメジモア・ケンダルという人の思い出話を読んだのだが、面白い逸話だと思った。

 ルーズベルトの談話を筆記して、その通り間違いなくタイプライターで打って、署名をもらい、手紙を出すのが自分の仕事だったが、いつも決まってルーズベルトは署名したタイプ済みの手紙の一部分を自分で消したり、書き込んだりするのだった。

 あるとき、書き込みの多かった手紙をもう一度タイプライターで打ち直して、再び署名をもらおうとしたら、そのときルーズベルトが言った。

「僕がタイプした手紙に、わざと書き込むのは、別にトリックではない。機械で印写した手紙に自分のパーソナリティー(人間的な味付け)を盛り込みたいという一心からなのだ。だから、それを打ち直されてはたまらないヨ」

 機械的な事務処理がますます増えている昨今、ふと考えさせられるものがある。

(商業界二十年より)

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店は客のためにある  [2006年07月01日(土) ]

【店は客のためにある】 (41)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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      店│は│客│の│た│め│に│あ│る│
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□□     2006/07/01 
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◆◆  目   次  ─────────────────────────

1.金儲けと商売の違い
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【1】 金儲けと商売の違い

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「チキンラーメン」や「カップヌードル」を知らない日本人は余りいないと思います。わが国の即席ラーメンの草分け、発明者である安藤百福さんが先ごろ亡くなられました。

 敗戦後、日本の主食文化の多様化と粉文化の普及を考えるとして、お役人が提唱したのは「パン食の勧め」でありましたが、安藤さんは、うどん・そばを中心とした古くからの日本の麺文化を大事にすべきであるとして、おかみに「麺食の勧め」を陳情しました。結果は皆さまご想像の通り、お役人の答えはいつの世も同じでございます。

 さらばということで、安藤さんは独自の発想で、「お湯をかけるだけで3分で出来上がる」というコンセプトで、何度も失敗を重ねた挙句、1958(昭和33)年ついに「チキンラーメン」を世に送り出すことに成功したのでした。

 今、日本で生産される即席ラーメンは年間160億食と言われます。まさに日常食という不動の地位を築いたと言える即席ラーメンですが、安藤さんの凄いところは、製造技術特許を僅か数年で公開してしまったことでした。今日の即席ラーメン文化は、安藤さんの「麺食」への思いが育んだものであり、特許の公開により参入業者が増えて、一気に花開いたと言えるでしょう。食品スーパーで一袋50〜60円で販売される即席ラーメンの利益はどのくらいでしょうか? 「麺文化の普及」という使命感に裏打ちされて、2008年8月25日には《50周年記念事業》が華々しく開催されることと思います。

 店ではもういらないという見切り品は薄利でさばくのが常道であるように、お客に信用されている商品や多くのお客にとって必要度の高い商品も薄利なのが原則である。

 良い品、廉い品こそ商人の報酬が多かるべきなのに、これは少々おかしいと思われるのではなかろうか。だが、空気や日光や水のように、絶対に必要なものになると、これを扱っても利益など得にくいことを考えると、なるほどそうかと思い当たるのである。

 商売では一品ずつの利益は少なくとも、お客に喜ばれ、社会を益し、それが永遠に続くのである。金儲けは、二度三度と同じことは続かないが、商売は繰り返し永遠に続くところにその意義を持つのである。

 引き続いて同じことが行えないような売買は、商売とは呼ばれない。たぶん、それは一時の儲け仕事なのであろう。中には人に迷惑や損を与えるだけの場合もある。同じように儲かっても、こうした金儲けには永遠性がないが、商売には持続性がある。

 この二つの区別のもう一つの点は、金儲けにもたまにはサービスの伴うものもあろうが、商売のほうにはサービスの伴わないものは皆無だという点である。

(商業界二十年より)

 東京ならではのお店になりますが、中野区の上高田というところに即席ラーメンを調理して食べさせてくれるお店があります。《さくら》というお店ですが、店内の壁面にはメジャーな即席めんは言うに及ばず、ご当地ものからインディーズ?ものまで、日本中の即席めんが所狭しと並べられています。

16148_o.jpg
お客は、好みの即席めんを指名して、お店特製のチャーシューなんかを乗せてもらって作ってもらう仕組です。メジャーなラーメンですと190円くらい。珍しい銘柄品ですと350円くらい。美味しいラーメンを求めて全国を旅する人もいますが、こういうお店でご当地ラーメンを順番に食べながら、旅行気分に浸るのもいいかもしれません。
16149_o.jpg

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あじさい  [2006年06月29日(木) ]
関東では梅雨も中休みといった昨日・今日です。
蒸し暑くていやだという人も多いのですが、私は雨自体はそれほど嫌いではありません。

雨の中、ひっそりと咲いている可憐な花を見ていますと気持ちが和んできます。

ところで

よい歳になったというのに、紫陽花というのはず〜〜とこんなものであると思っていました。
15932_o.jpg

昨日、通勤の道すがら、おや! と思って、見ると紫陽花の花が。しかも普段見ている紫陽花とは少し違う。周りに白い小さな花が…

これはどういう種類の紫陽花なのか、どなたか教えてくださいませんか。
15933_o.jpg

紫陽花といえば、三好達治の詩がありました。
途中を失念しましたが、青春時代によく口にしていたものです。

母よ
淡く悲しきもののふるなり
あじさいいろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり

… … …

淡く悲しきもののふる
あじさいいろのもののふる道
母よ 私は知っている
この道は遠く遠くはてしない道

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店は客のためにある  [2006年06月25日(日) ]

【店は客のためにある】 (40)
正しく生きる商人道を極めましょう。
お客様が心から喜ばれるお店づくりの一助となればと思い、商業界創業者《倉本長治》先生の遺訓を共に学んで行きたいと思います。

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      店│は│客│の│た│め│に│あ│る│
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□□     2006/06/25
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◆◆  目   次  ─────────────────────────

1.いつでも何かを学ぼう
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【1】 いつでも何かを学ぼう

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 このブログに参加されている皆さんはとても勉強家ですから、今さら言うまでもないことですが、人間死ぬまで学び続けなければならない、とは誰の言葉であったでしょうか。

 よく本を読み、人と活発に会話を楽しむ人は歳を取らないと言います。勉強を続けることによって脳の働きが活発になり、それが若さを保つホルモンに作用するのでしょう。

 商売でも同じことが言えます。社長を始め社員がよく勉強している企業やお店は、店の雰囲気がいつも明るく、働く社員の姿も生き生きしています。これに対して、社長はゴルフと酒の接待三昧、社員は漫画とケータイが生きがいという会社は、一見繁昌しているように見えても、どこかしら社内の雰囲気が殺伐としており、書類は散らかし放題、どうかするとこのご時世だというのに灰皿にタバコの消しカスが山のようになっていたりします。

「勝ち組」「負け組」という言葉は余り好きではありませんが、継続的に学びを続けている人間がそれなりの成果をあげるのは当然であり、ぐうたらな生活態度ゆえに貧しい人生を送らなければならぬ者が「格差の是正」を叫ぶのはちとおかしいのではないでしょうか。

「いつでも何かを学ぼう」というこの言葉は、孔子の「学ぶに如かず」をはじめとして昔から世界中にあったが、ワナメーカーが語るときほど痛切なことは少ない。

 近代の商業倫理を身をもって実践して見せたジョン・ワナメーカー(1838〜1922年)は、アメリカの近代的百貨店の祖といわれた人物であったが、自分が教育を受けなかったので終生、学び且つ考え、書くということに努めた。

 何でも学べ、頭脳を使え、と常に店員を激励し続け、「よく考えているうちに人間が成長する」とも「毎日が生きた学校」「商店は市民の教室」などという自分自身が学び通した体験のにじみ込んでいるような言葉が好きだった。

 今から6、70年も前に店員学校を作り、良い店員である前に良き市民たれと教えた。

 そうして、「正直な魂のみが正直な商売を行う」ことを主張して、商売から一切の虚偽、不明朗を駆逐することにより、世界の商人の社会的信用を建設したのだった。

(商業界二十年より)

 ジョン・ワナメーカーには次のような逸話があります。

 ある日、ワナメーカーが経営するデパートの店員募集の広告を見て、一人の青年がやってきました。みずから面接したワナメーカーは、彼に幾つかの質問をしますが、青年の返答は、

「イエス、○○○」

「ノー、○○○」

と、歯切れよく適切に即答して少しの誤りもありませんでした。

 体格も立派だし、学力も十分。

 居合わせた他の役員は、この青年の採用を確信して疑いませんでした。

 ところがどうしてか、ワナメーカーはこの青年を不合格にしたのです。

「たいそう、よい青年のようでしたが、どこかお気に召さないところがありましたか」

側近の一人が訝しげに尋ねたところ、ワナメーカーは、こう言いました。

「あの青年は、私の質問に、『イエス、ノー』と、ぶっきらぼうに言うばかりで『イエス・サー、ノー・サー』(敬称)と丁寧な物言いをしなかった。あんなふうではきっと、お客に親切を欠くことがあるにちがいない。親切第一がモットーの私の店には、雇うわけにはゆかないのだよ」

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