田代島は東北地方の島とは言え、付近を流れる黒潮海流の影響を受けて気候は温暖。 そのため南国で見られるタブノキの原生林が生い茂る。 また、親潮と黒潮が交わる位置にあることもあり、魚介類の宝庫だ。 そんな田代島の島民にとって猫は大漁の守護神。 だから猫はとても大切にされ、島内で生活する猫たちはとてもゆったりとしてみな幸せそうだ。 島のほぼ中央にある猫神社には猫神様が祀られているという念の入れよう。
ここのネコ君たちはニンゲンが近づいていっても逃げないばかりか、ほとんど関心すら示さない。 日頃都会を流している野良猫は余程のおっとりネコでない限り、大抵は人間と目を合わせた途端に逃げモードになることが多いが、田代島に住むこの“神様”たちにとって人間はおそらく雑魚にすら映らないのだろう。
田代島には一日に3本ほどの船が石巻からやってくるが、船が着くそのときだけ、集落は人影が見られるが、その他の時間は猫が気ままに歩くだけ。 島には海岸線沿いを一周する一本の細い道があり、その道を独りで3時間ほど歩いたが、結局一人の人とも会うことはなかった。
島の高台から望む眩いばかりの青い海と島を覆う美しい原生林。 そして、ゆったりのんびりと暮らす沢山の猫たち。 一瞬、南海の孤島の空気と時間に浸っているような錯覚を覚えた。
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