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虫や鳥、草や木の声を聞き取りたい土筆です

父の死ー2 [2007年06月02日(土) ]
午前1時半、父の遺体を我が家の父の部屋に運び、北枕に寝かせる。
私の住んでいるところは人が亡くなった場合、その家の隣組の人が二人でお寺へお米を一升持って告げに行くことになっている。だが、真夜中である。隣の家に電話をかけたが誰も出ない。玄関のドアを叩いたが起きてくる気配もない。家にいるのは母と妻と妹3人、それに一番上の妹の夫である。あとはそれぞれの子ども。

我が家は浄土真宗である。
私は妹の夫に頼み、私と一緒にお寺に告げに行って貰うことにした。母に先にお寺に電話をかけてもらってから二人でお寺に行った。玄関に着くと、奥様が起きて待っていてくれた。お茶を戴きながら応接室で待っているも御院主様がなかなか起きてこない。奥様は慌てる風もなく、昨日何処何処の家で猫が生まれたなどと日常の話しをしながらお茶を出してくれる。私が父が亡くなったことをお話しているのにまるで関係のない話だ。私たち二人は次第にイライラしてきたと同時に何かおかしな雰囲気を感じていた。かれこれ20分も待っただろうか、御院主様が部屋に入っていらっしゃった。
私は改めて父が亡くなったことを告げた。ところが御院主様はそれに応えず取り付く島も無いような仏頂面で、無言のまま目を左右に泳がせながら突然、「お宅の親戚の○○家の3年前に亡くなったおばあさんは院号を付けているし、昨年亡くなった○○さんのお父さんも院号を付けている。お宅も付けますね」と言われた。私は何のことか分からないながら、「はい」と答えた。すると御院主様は「院号代は10万円からです」、と。そしてすかさず、「永代経もあげますね」と言われたので、これも私はよく分からないことながら従わなければならないように感じて、こっくりと頷いた。
御院主様はにっこりと顔を綻ばせながらはじめて私の顔を見た。そして部屋を出て行くとすぐにお宝様を持って部屋に戻り、私はお宝様を頂いた。私はお宝様を首にぶら下げ、何とも言えない重苦しい気持ちになり、妹の夫と一緒に無言で家に帰った。

家からお寺までは徒歩5分の距離である。家に帰るとすでに農協の葬祭センターの担当の方が来ていた。すぐに御院主様もいらっしゃった。枕経が始まり、大して時間もかからず終わった。その後、御院主様、葬祭センターの担当者と私とで葬儀のスケジュールの打ち合わせ。といっても、私は御院主様と葬祭センターの担当者の話を聞くだけである。28日、午後7時通夜。29日午前10時告別式と決まった。この辺りは今は家で葬儀をする家は殆どない。我が家も農協の葬祭センターで行う。
御院主様が帰り、葬儀センターの担当者が帰ると、親戚が駆けつけてきた。次々と集まってきて、お布施の額や院号代、お宝様代、礼参料、それに永代経料等々、いくら包んだらいいのか親戚から聞いた。院号を付けない、永代経もいらないと言えばお布施だけで済んだのに、と親戚の長老に言われた。家族が亡くなったと告げに行ったのに、院号代から話しはじめる坊主は余程欲深い坊主だ、と親戚のおじさんが言ったが、こちらは何も分からないのだから御院主様の言う通りにするしかなかった。院号とは戒名、浄土真宗では法名と言うが、それに「院」を入れるとお金がかかるのである。院号代が10万円、永代経代がまた10万円で合わせて20万円余計にかかることになるが、一度了承したものを今更なしにしてくれとは勿論言えない。私は自分がこの種のことに全く無知であることを思い知らされた。
親戚から35日の他に初七日法要をも一緒にやっていただくことを御院主様に頼んだ方が良いと言われ、翌日電話でそのように御院主様に頼むことにした。

朝になり、隣組に父が亡くなったことをお知らせに行った。すぐに隣組の方々が駆けつけてきてくれた。私の家は五軒組なので4人の隣組の方々にお世話になることになる。といっても、隣組の皆さんにやっていただくのは、葬祭センター会場での受け付けや野辺送りの時の饅頭配りくらいのものであるが、葬儀に関していろいろな情報やお手伝いをして頂くのはとても助かる。

Posted at 21:01 | お寺と葬儀 | この記事のURL
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