熊本に私の友人がいますが、彼の祖母はキリシタンだったそうです。数年前に90数歳でなくなりましたが、キリシタンを変えることはなかったそうです。キリシタンという言葉が示すように、ポルトガル人が日本にやってきたのは戦国時代の九州です。戦国大名でキリシタンになった豊後の大友宗麟が知られています。
『食の変遷から歴史を読む方法』(河出書房新社)という本に面白いことが書かれています。日本に最初にやってきたフランシスコ・ザビエルは、日本の食事の貧しさに驚き、教会への報告書に「今後質素な食事に耐えられる宣教師を選んで日本に送り込むように」と記しているそうです。
しかし、もし、彼の云う通りにしていたら、日本に於ける布教活動は成功しなかったでしょう。まもなく、彼とは全く異なる考えで布教活動を始めたのが、ビレラというポルトガル人宣教師です。彼は大友宗麟のもとで布教に従事しましたが、1557年の復活祭の日に、豊後府内のビレラをはじめとする宣教師が400人余りの日本の信者の為に食事をご馳走した時の記録が残されています。
其の時の食事は細く切った雌牛の肉とサフランで黄色い色を付けたご飯だったそうです。日本人は奈良時代以来肉食を絶ってきた為に、この時はじめて牛肉を食べた者が殆どで、肉の旨さを知り、キリスト教に関心を持ち、肉食を禁ずる仏教に反発していったのです。
食の欲という人間の最も基本的な欲求に訴えて多くの日本人の気をひくのに成功した宣教師たちは、美味しいものを与えれば人心を掌握出来ることを経験から知っていたのでしょう。
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