「ほんとんどのカモメは、飛ぶという行為をしごく簡単に
考えていて、それ以上のことをあえて学ぼうなどとは
思わないものである。・・・
だが、この風変わりなカモメ、ジョナサン・リビングストン
にとって重要なのは、食べることよりも飛ぶことそれ
自体だったのだ」
(リチャード・バック著、五木寛之訳。新潮文庫476円)
この懐かしいフレーズを新聞の片隅でみつけ、本棚を
探した。が、どうにも見つからない。
やむなく近くの本屋でこの本を買い求めてみて驚いた
のは、昨年6月で69刷!
昭和52年5月発行であるから、何と30年間にわたり
増刷を続けてきている。
だが、作品は実はもっと早く1970年に米国で発表され
ている。当初はほとんど評判にならなかったが、72年に
突如ベストセラーを記録、と奥付にありました。
そうでした私が読んだのは、日本が高度成長を走り
始めたときでしたね。
「いいかね、ジョナサン」と父親が言う。
「・・・分かっとるだろうが、空中滑走は腹の足しには
ならん。わたしらが飛ぶのは、食うためだ。ひとつ。
そこんところを忘れんようにな」
豊かな米国が展望のないベトナム戦争に足を掬われ
続けた時代。
暗殺、ヒッピー、麻薬、フォークソング、徴兵回避など
急速に時代がきしみ、転回していましたね。
私も70年、社会人として世の中に吸い込まれていった
時代です。
天国に昇ったジョナサンに、教官のサリヴァンが言います。
「・・・人生には、食うことや、争うことや、権力を奪い
合ったりすることなどより、はるかに大事なことがあった
んだと、そうはじめて気づくようになるまでには、どれだけ
永い歳月を経てこなければならなかったことか。・・・」
こんなフレーズがあったのですね。まったく覚えていま
せん。
白状すれば、私はこの本を落ちこぼれ人の強がりと
救いの物語と読んでいたような気がします。ベスト
セラーの理由がよく分からなかった読後感を覚えて
います。
言葉を正しく受け取るには、読むほうにも時間の
蓄積がいることが分かります。
(いや単に頭が悪いだけでしょう)
企業から離れてほぼ1年。ようやく、自分が分かりつつ
あることを思います。
Posted
at 21:27
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あぁ、そうですね、映画にもなったのですよね。
私は残念ながら映画は見ませんでした。
音楽も評判になったのでしたっけ。
人が出てこない映画なんて、この作者らいです。