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【手談への誘(いざな)い】第7回『戦いに、共感は要らない(2)』 【2006年09月01日(金) 】

(前回から続く)
人間の脳の働き方は、人と対立するときと、人を信じて共感するときではずいぶん異なるらしい。

2千年来、東アジアの共通文化であった囲碁においても違いを感じます。囲碁に対して、日本では文化として勝敗を超えた魅力を感じる人が多いのですが、韓国では勝ち負けを争う競技としての側面に、とりわけ強い関心があるようです。
日本では、芸道に近いものとして囲碁をとらえている棋士が少なくありません。対して韓国では、勝つことで得られる利益を大きな動機として戦っているプロが大多数でしょう。

この7月、第19回世界選手権戦富士通杯で韓国の朴正祥六段(21)が初優勝しました。優勝賞金1500万円より、九段昇段より、兵役免除を獲得したことが彼には最大の喜びだったでしょう。

そのニュースに接して私が感じたことを、誤解をおそれず書いてみます。
一つは、いまも韓国の社会と若者たちが置かれている厳しい現実。
そして、抗日の歴史。
さらには、険しい環境の中で生き抜いてきた長い歴史をもつ朝鮮の人々の心です。

日本人棋士の多くは、歴史上の名手や同時代の優れた棋士に学び、棋譜や囲碁観に共感することをとおして棋力を高めてきました。たとえば、かなわないまでも棋聖・道策(1645-1702)の境地に少しでも近づきたいと。
対して、若い韓国の棋士たちも古今の棋譜や囲碁観を知っていますが、それらを批判的にとらえることが基調であるようにみえます。大部分が日本の囲碁文化である過去の棋譜や囲碁観に対峙し、それを超えてより優れた戦術を身につけ、世界戦で勝利することを期しているのでしょう。

学習過程のみならず、実際の対局においても違いがあるように感じます。
日本の棋士は対局中も、相手の良い手や優れた囲碁観を認め、ときには共鳴することがあります。韓国の棋士は激しい闘争心を胸に秘めており、相手の好手に対しても「それがどうした」と対立的、批判的にとらえることが多いようにみえます。
相手を負かさなければ、自分が倒される。
殺すか殺されるかという戦いにおいて、共感する心は邪魔ものでしかないのです。

このようなことをどう思うか。それは人それぞれでよいのでしょう。
ただ、豊かなこの国土で、争いの少ない社会で祖先が育んできた日本の文化を、その一つである囲碁文化を、私は素晴らしいと感じています。
私たちはたいへん幸せだと思っています。

5世紀初めに数万の民を率いて朝鮮から渡来した弓月君(ゆづきのきみ)は、秦の始皇帝の子孫と伝えられています。
江戸東京博物館で開催中(8/1〜10/9)の「始皇帝と彩色兵馬俑展」を、初日に見ました。その話を次回に。

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[ 平本弥星ブログ『手談への誘(いざな)い』は毎月15日・30日ごろ更新します。お楽しみに! ]
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コメント


あくまでも棋士としての対戦感でしょうから、これはこれで、なるほどと思いました。碁を通してのちょっとしたお国(棋士)の違いが、面白い。
Posted by:時遊生活者  at 2006年09月02日(土) 09:36

 失礼(;´_`;)とは思いますが、私は朝鮮人はこう、日本人はこうという、いっぱひとからげな意見にはあまり賛同できません。 人(個人)と人(個人)の差は人と動物との差よりも大きいと、そう言った故人も居ました。 
Posted by:hotoke  at 2006年09月01日(金) 21:40

戦国に生きた秀吉は、最初の一手を盤の真ん中に置いた、と聞いたことがあります。勝負するなら「最悪な場所」と思いますが、如何でしょう。未熟な私も真ん中に置いてから始めました。理由はその石をいかに生かすかが楽しみだったので、勝敗より大事なことでした。対戦相手は有利な展開をしますが勝っても、それで終わり。私は真ん中の石を守り抜いた勝利感でニコニコ。
Posted by:  at 2006年09月01日(金) 19:35





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