今頃になると、そろそろ柿が八百屋の軒下に並ぶ。先週、今年初めて食べたが、やはりまだ甘味がなく、秋の色を味わっただけだ。
隣町の小さな神社に大きな柿の木がある。昨日行ってみたら今が盛りだが、渋柿なのか誰も採ろうとしないようで、根元に落ち柿がいっぱいだった。半分は腐れて変に甘い匂いを放ち、それに寄せられて銀蠅がブンブン羽音を立てながらたかっている。ぼくが動くたびにうるさいほどだった。蠅音など久しぶりで、これはこれで懐かしく、おかしな感傷を持ったものだ。
渋柿はよほど熟さないと甘くならず、これはこれで色々と複雑な事情があるらしい。
【柿の実には種がある。柿は自分の子孫を増やすため、その実を鳥や動物に食べさせ、中の種をばら撒いてもらうために実を甘くする。しかし、実の中の種が成長しないうちに食べられてしまっては元も子もないので、種が成熟するまでは、実を渋くし、種が成熟してくるとその種から分泌されてくる成分で甘くなるという方法を考えた】という話だ。
柿の色は好きな色の一つだ。カラーコードでは#F3704Bになっているが、成り立ての青っぽさからの変化でいえば、そう単純に決められまいと思う。あまりに熟しすぎると柿色まがいになって、好みから外れてしまうからだ。
岐阜に住んでいた伯母が毎年富有柿を送ってきた。数年前に亡くなったのでそれも途切れたが、発祥の地というだけあって、味も形も色も立派なものだった。あまりに立派で、旨くはあるが抵抗感もあった。やはり次郎柿あたりで遠慮なく喰らいつく方が性に合っている。ほかの種類で先が尖がった柿の風情も日本的でいい。
今は枯れ葉混じりながら、まだしっかり葉が茂っているが、枯れてくると異形の姿になる。枝の曲がり方に丸みがなく、棒グラフのようにガクンガクンと角度があるから、夜には上から覆いかぶさるお化けに見えるのだ。月夜で見ると、奇々怪々の雰囲気である。
柿ひとつ 見すえて思う 色気かな
落ち葉が蜘蛛の糸でぶら下がり、風にユラユラ。
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at 05:27
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柿ほど日本を感じる果物はないと思います。