以前はこんなときはホッカイロで温めていました。あるとき、ふと気づいたんです。むかしは温めた石を懐に入れて暖をとったというじゃないの?石をレンジで温めたらどうだろう?と。
はい、そうしてみましたよ。うまいぐあいに、十年前にサハラ砂漠をたずねたとき(「星の王子様の砂漠は」3月5日記事)、その入り口の町「ワルザザド」で手に入れたアンモナイトの化石がありました。大きさも手のひらにおさまるサイズでちょうどよいし、これを1分10秒レンジでチンして、布の袋に入れてからお腹にいれます。ふむふむ、いい感じ。何回も使えて、使い捨てではないから、エコにもなる。
それにしても、何億年後にニンゲンのお腹をあたためることになろうとは、このアンモナイトも知るよしもなかったでしょうね。
夕暮れ時にたどりついた砂漠の町の化石加工場の中に、山積にされていたアンモナイトの化石、どれでも好きなものを選んでいいよといわれても、山のようにあるものですから、もう、目をつむってエイヤッって選び取るしかありませんでした。そうして、やってきた日出づる国のニンゲンのお腹に密着して、この化石はその役目を果してくれています。何億年後の奇跡。
化石加工場の前の空き地で、連れが買物を終えるのを縁石に腰掛けて待っていました。すると、夜のとばりの中を何人もの人々が行き交っているのです。
ちょうど、仕事が終って帰宅する時間だったようで、めざとくわたしをみつけた土地の人たちは皆、くちぐちに挨拶をしてきます。「こんばんはぁ」と。
え?日本語?しかも、この時間にする挨拶を知っているし。異国の地で聴いた最初の日本語でした。思わずわたしも「こんばんはぁ」と日本語であいさつをかえしていました。
行き交うほとんどの人が「こんばんはぁ」というものですから、何回「こんばんはぁ」を連呼したことやら。高い建物がないので人々の頭上の、丸いお月さまだけがこちらを見おろしていました。
家族の待つわが家へと、月が照らす道に姿を消して行く人たちの笑顔を、お腹にアンモナイトをいれるたびに思いだすのです。そして、あのときの人々は今日もあの町でおだやかに暮らしているだろうか、と十年を経た今日も思いをはせるのです。
そう、これも何億年後の奇跡。
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at 08:46
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サハラ砂漠をランドクルーザーで疾走した話は以前ご紹介しました。ほら、「サハラの砂は時をきざむよ」(3月6日記事)あたりで。10年前にモロッコを旅したときのことです。そのサハラ砂漠に沿って、カスバ街道を東へ走ってたどりついたフェズの町。(写真はそのサハラの砂で作った、砂時計)











