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悪態の退化[2007年01月21日(日) ]
静岡市に住んでいる友人から葉書が来た。
よくもまあ小さな字で紙面一杯にいろいろ書き連ねているものだと感心しながら読み進むと、こんなことが書いてあった。
「私は仕事で自転車のペタルを踏んでいた。夕闇の出会い頭、相手も自転車の衝突寸前、急ブレーキ。『ジジィ!!』。篠原涼子に似た若い女が私をののしったのだ。何か恨みと怒りのこもった低い唸るような声だった。ぶっつけたわけでもない。カスリもしていない。びっくりしたのはお互い様だ。赤の他人をジジィ呼ばわりするとは何様だ。失礼失敬千万」。
友人としてはあまりの突発的な出来事で、有効な反撃は出来なかったらしい。後で奥さんと「ババァ」と面罵すればよかったのかなと、共々憤慨したらしいが、即反応出来なかった無念から私に訴えてきたのだろう。新聞でも「その場は収まったが1時間後に包丁で刺した」類の記事を見かける。振り返るほどに口惜しさがぶり返してくるのだろう。
昔の規範をどんどん削り落として、貧しい感情の表現を親から譲り受けている。ぶつかりそうになったら「あぶなかったね」「よかったね」とニッコリ微笑み合った時代は戻ってこないだろう。2ちゃんねるあたりの味も素っ気もない罵詈雑言から、それは十分読みとれる。
最近、子供たちが親に向かって「クソジジイ、クソババア」とあびせる場面によく出会う。仮名で書くとあっけないが、漢字では「糞爺、糞婆」である。糞みたいな爺、婆と平気で親に言っていることになる。親も時には「糞餓鬼」と言う。
どうせならもっと考えて的確な表現を身に付けるべきだ。落語の「天災」に次のようなくだりがある。
「横にシワが寄ってるから提灯婆ァ、縦に寄ってりゃ唐傘(からかさ)婆ァ、縦横寄ってりゃ縮緬(ちりめん)婆ァ、まんべんなく寄ってりゃ、象の耳婆ァだ」。長屋の八五郎が実の母親のことを大家に説明する場面である。なんとも愛情のこもった表現だ。
罵る、けなすにしても、もっと本を読んだり落語を聴いたりして、語彙の貧しさを克服しなければ、ただ単に「バカ、アホ、マヌケ」と芸のなさをさらけ出して、いくら今風にメイクした綺麗なおねえさんでもげんなりする。こう言うと、想像通りでワンパターンの返答が返ってくる。
   「関係ねぇーだろ」
その通り。私はこういう類とは互いに「関係」を一切持ちたくない、なんと言われようとだ。

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コメント


コメント、ありがとうございます。
若い人にもジジババにもいろいろな人がいますが、ギスギス感は否めませんね。こちらがニコリとしても「なんだ、この馬鹿」と言われると、(もう二度と・・・)という姿勢になってしまいます。
Posted by:玉ねぎ  at 2007年01月22日(月) 12:23

同感! こんな現実だから若者に忠告も出来ない 懐に何を持っているか和からない 何とかしたいが何も出来ない自分に 腹立つ
Posted by:ナムチャイ  at 2007年01月21日(日) 20:00

いや〜、面白く、うまいブログです。
一気に読ませて、落ちもあります。

おっしゃるとおり、日本の文化が変質しつつあるの
でしょうか。間接、婉曲の優しい言葉が懐かしい。
Posted by:湘南ジョガー  at 2007年01月21日(日) 19:10

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