カミさんにやいのやいの言われて、物置の整理を手伝わされた。「捨て魔」の彼女としては血湧き肉躍るエキサイトタイムだろうが、整頓大嫌いな私はエンジンがかかるまでかなりの時間を要した。
先ずは棚卸しの“必要品”“不要品”“不良品”に仕分けする要領で片づけを始めた。ふと気がつくと、私は何故か“不良品”の真っ只中にいた。
「おい、おれの立場はどうなる」とカミさんに訊くと、「アラ、まだ不要品じゃないからいいんじゃない」と軽くイナされた。そうかいそうかいとふてくされていると、「はい、オトーサンの大好きなもの」と、結構重い物を手渡された。テープでしっかり塞がれている。湿気があるといけないものかなと開くと、なんとなんと、レコードだった。すっかり忘れていた45回転のレコード盤のアルバムである。ドーナツ盤とも言われていた。手伝いを放ったらかしにして確かめた。1960から70年代のアメリカンポップスだ。アメリカで買ったのは間違いないが、はてさてどこだったか。
幸い、今だもってサンスイのレコードプレイヤーがある。針がちょっと心配だが動くし、真ん中に置くドーナツ盤用の丸いやつもある。当分は有意義な暇つぶしが出来るというものだ。
カミさんが怒鳴っている。珍しい旧友に会ったことだし、本腰で手伝ってやるか。
加えて、当時使っていたスーツケースからまたまた忘れ物が出てきた。70年代のケースはやたら頑丈で重かったが、随分世話になった懐かしの友である。いろいろなシールがべたべた貼り付けられ、手荷物の扱いが乱暴な
空港での思い出の傷、エッチラオッチラ引っ張りながら移動したときのうんざり感などが絵のように刻まれている。
それはともかく、その中に75年にロスのアンティーク売場で買ったものが2点入っていた。ひとつはパイプ置きというかホルダーというか、要するにパイプを並べておくものだ。何故こんなものを買ったのか、2,3本持っていた記憶はあるが、当時の気持ちは忘れた。もうひとつは装飾がまさにウェスタン・アメリカンな鏡で、四方が5_ほど削られており、面を浮き立たせている。たしか、昔の鏡はこんな風だった。というわけで、カミさんが私のケツを叩いたおかげで、70年代のアナログさんと出会えたことになる。
昔の日が降りかかって来て、甘い匂いをまき散らして、それにちょっと酔った午前9時だった。
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