コブタンのお家は、町のやおやさんです。
いつも元気なお父さんですが、この頃は、
「よわったな。野菜も果物もしなびたものばかりだ」と、顔をしかめています。そういえば、となりのお魚屋さんのおばさんも、角のおそば屋さんのおじさんも、「この頃、水道の水がよく止まるので、こまってしまう」と言っていました。
コブタンは、その訳を知っていました。遠い東のお花ばたけから、バラの花びらがとんできて、「助けてください。カラカラ大魔王のために、みんな死んでしまいます」と、言ってきたのです。
小さな部屋の大きな窓から、朝のお日さまが、いっぱい入ってきました。コブタンはベッドの上で「アーア」と思いっきり背のびをしました。そして頭をコツンとたたきました。そこがプクッとふくらんだと思ったらみるみる大きくなって、コブじいさんが「もう起きたんかい」と、ねぼけた顔で出てきました。
コブタンは、今日、どうしても旅に出なければなりません。コブじいと、お花ばたけを助けに行くのです。
「おじいちゃん、出かけるよ」
「朝のお日さまに向かって、まっすぐ歩くのじゃ。水がどんどんさらわれとる」
そうです。東のはてに住むカラカラ大魔王が水をどんどんゆうかいして、世界を砂だらけにしようとたくらんでいるのです。大事な水を遠いミズガメ星のふくろの中にとじこめ、地球に住むたくさんの生き物をしはいするためです。
コブタンは、コブじいとそうだんして、大ま王をやっつけて、みんなを助けるために、旅に出たのです。
東に向かって歩きつづけてから、二日たちました。水とうの水もなくなりました。コブタンは小さな川を見つけて、水を飲もうとしました。でも、まるで川のそこがぬけているように、水がどんどん減っていきます。
コブタンは、あたまをコツンとたたいて、コブじいを呼びました。
ようすを知ったコブじいは、いそいでお花ばたけへ行くように言いました。
「いいか。カラカラ大魔王は二つの方法で水を誘拐しておる。ひとつは降ってくる雨を大きな大きなマントにためてはミズガメ星へ持っていく。もうひとつは、巾が10メートルもあるストローのような口で、海や川の水を吸いとって、おなかの中にためこんで、星にはこんでおるのじゃ」
「どうしたら、やっつけられるの?」と、コブタンは聞きました。
「マントをやぶいて、お腹にあなをあければ死んでしまう。お花の女王とそうだんしなさい」と、教えてくれました。
やっとお花ばたけにつきました。お花の女王は大きな赤いバラでした。水がなくなって、三日たっていたので、一万本あるいろいろな色のバラたちはかなりよわっていましたが、コブタンが、
「さあ、みんなでがんばろう」と、はげますと、お花の女王は、
「ありがとう。花びらも、とげも、ツルバラもみんなでがんばるから、どうしたらいいのか教えて下さい」と、枯れそうな葉っぱを動かしました。
コブタンはみんなを集めて、作せんを話しました。
さいしょに、バラの花たちはみんな空に向かって、いっせいにあまいあまい匂いを、思いっきり出しはじめました。
ミズガメ星でひと休みしていたカラカラ大ま王は、
「おや、いい匂いだな。うまい水があるにちがいない。みんなすいとってやろう」と、ひとっとびでお花ばたけにやってきました。
待ちかまえていたコブタンが、
「カラカラ大ま王さま、このお花ばたけのまん中に、おいしい水の池があります。どうぞ吸いとって下さい」というと、大ま王はそこをめがけておりてきました。
「それ、いまだ!」
と、コブタンがさけぶと、待ちかまえていたバラたちはいっせいに立ちあがりました。
ツルばらは、大ま王の、ストローになった口にまきつきました。あとからあとから仲間のつるたちがまきついて、ギュウギュウしめつけました。
ためていた水の重さで、カラカラ大ま王は苦しくなってあばれまわりました。そのひょうしに、お腹のかわがやぶれて、水たちは川のなかへ、にげることができました。大きいとげも小さいとげも、負けてはいません。
「オーイ、みんな。大ま王のマントをあなだらけにするんだ!」
ブス、ブス、ブスと、さしまくりました。
マントはさーっとまっぷたつにやぶれ、水たちは湖にもどっていきました。
カラカラ大ま王はたまらなくなって、ミズガメ星に向かって逃げだしました。でも、ツルばらもとげもはなれません。大ま王は星にかくしていた大きな大きな水ぶくろにつかまって、ひっしにていこうしましたが、あまりのいたさに、長いつめをふくろにさしてしまいました。ふくろはやぶれて、水があふれ出し、星の半分もたまっていた水が大雨になって地球にふり、海はもとの深くて大きなすがたにもどりました。
そして、カラカラにひからびた大ま王は、とうとう遠い遠いうちゅうのはてへ逃げていきました。
コブじいは、「大ま王は水を大切にしない人間が、ばけておったのじゃ」と言いました。
コブタンは、「いままで、ぼくひとりくらいなら、水を出しっぱなしにしても水はなくならないと思っていたけど、これからは大切にするよ」と、約束しました。
*友人のAnseiさんの「現代和歌」のページ紹介。
いにしえの和歌で愛や悲しみなどを詠っています。
日英対訳、英語のエッセイを綺麗な写真を背景につくられています。
http://anseiwaka.web.fc2.com/
いつも元気なお父さんですが、この頃は、
「よわったな。野菜も果物もしなびたものばかりだ」と、顔をしかめています。そういえば、となりのお魚屋さんのおばさんも、角のおそば屋さんのおじさんも、「この頃、水道の水がよく止まるので、こまってしまう」と言っていました。
コブタンは、その訳を知っていました。遠い東のお花ばたけから、バラの花びらがとんできて、「助けてください。カラカラ大魔王のために、みんな死んでしまいます」と、言ってきたのです。
小さな部屋の大きな窓から、朝のお日さまが、いっぱい入ってきました。コブタンはベッドの上で「アーア」と思いっきり背のびをしました。そして頭をコツンとたたきました。そこがプクッとふくらんだと思ったらみるみる大きくなって、コブじいさんが「もう起きたんかい」と、ねぼけた顔で出てきました。
コブタンは、今日、どうしても旅に出なければなりません。コブじいと、お花ばたけを助けに行くのです。
「おじいちゃん、出かけるよ」
「朝のお日さまに向かって、まっすぐ歩くのじゃ。水がどんどんさらわれとる」
そうです。東のはてに住むカラカラ大魔王が水をどんどんゆうかいして、世界を砂だらけにしようとたくらんでいるのです。大事な水を遠いミズガメ星のふくろの中にとじこめ、地球に住むたくさんの生き物をしはいするためです。
コブタンは、コブじいとそうだんして、大ま王をやっつけて、みんなを助けるために、旅に出たのです。
東に向かって歩きつづけてから、二日たちました。水とうの水もなくなりました。コブタンは小さな川を見つけて、水を飲もうとしました。でも、まるで川のそこがぬけているように、水がどんどん減っていきます。
コブタンは、あたまをコツンとたたいて、コブじいを呼びました。
ようすを知ったコブじいは、いそいでお花ばたけへ行くように言いました。
「いいか。カラカラ大魔王は二つの方法で水を誘拐しておる。ひとつは降ってくる雨を大きな大きなマントにためてはミズガメ星へ持っていく。もうひとつは、巾が10メートルもあるストローのような口で、海や川の水を吸いとって、おなかの中にためこんで、星にはこんでおるのじゃ」
「どうしたら、やっつけられるの?」と、コブタンは聞きました。
「マントをやぶいて、お腹にあなをあければ死んでしまう。お花の女王とそうだんしなさい」と、教えてくれました。
やっとお花ばたけにつきました。お花の女王は大きな赤いバラでした。水がなくなって、三日たっていたので、一万本あるいろいろな色のバラたちはかなりよわっていましたが、コブタンが、
「さあ、みんなでがんばろう」と、はげますと、お花の女王は、
「ありがとう。花びらも、とげも、ツルバラもみんなでがんばるから、どうしたらいいのか教えて下さい」と、枯れそうな葉っぱを動かしました。
コブタンはみんなを集めて、作せんを話しました。
さいしょに、バラの花たちはみんな空に向かって、いっせいにあまいあまい匂いを、思いっきり出しはじめました。
ミズガメ星でひと休みしていたカラカラ大ま王は、
「おや、いい匂いだな。うまい水があるにちがいない。みんなすいとってやろう」と、ひとっとびでお花ばたけにやってきました。
待ちかまえていたコブタンが、
「カラカラ大ま王さま、このお花ばたけのまん中に、おいしい水の池があります。どうぞ吸いとって下さい」というと、大ま王はそこをめがけておりてきました。
「それ、いまだ!」
と、コブタンがさけぶと、待ちかまえていたバラたちはいっせいに立ちあがりました。
ツルばらは、大ま王の、ストローになった口にまきつきました。あとからあとから仲間のつるたちがまきついて、ギュウギュウしめつけました。
ためていた水の重さで、カラカラ大ま王は苦しくなってあばれまわりました。そのひょうしに、お腹のかわがやぶれて、水たちは川のなかへ、にげることができました。大きいとげも小さいとげも、負けてはいません。
「オーイ、みんな。大ま王のマントをあなだらけにするんだ!」
ブス、ブス、ブスと、さしまくりました。
マントはさーっとまっぷたつにやぶれ、水たちは湖にもどっていきました。
カラカラ大ま王はたまらなくなって、ミズガメ星に向かって逃げだしました。でも、ツルばらもとげもはなれません。大ま王は星にかくしていた大きな大きな水ぶくろにつかまって、ひっしにていこうしましたが、あまりのいたさに、長いつめをふくろにさしてしまいました。ふくろはやぶれて、水があふれ出し、星の半分もたまっていた水が大雨になって地球にふり、海はもとの深くて大きなすがたにもどりました。
そして、カラカラにひからびた大ま王は、とうとう遠い遠いうちゅうのはてへ逃げていきました。
コブじいは、「大ま王は水を大切にしない人間が、ばけておったのじゃ」と言いました。
コブタンは、「いままで、ぼくひとりくらいなら、水を出しっぱなしにしても水はなくならないと思っていたけど、これからは大切にするよ」と、約束しました。
*友人のAnseiさんの「現代和歌」のページ紹介。
いにしえの和歌で愛や悲しみなどを詠っています。
日英対訳、英語のエッセイを綺麗な写真を背景につくられています。
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