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ブラり散歩*「馬鹿だねぇ」寅さんのことをおいちゃんはこう言ってたね談義 [2007年03月02日(金) ]


来たときと同じ運転手だった。多分バスも同じものだろう。昼間寝てこれから夜勤というところか。二人が2時間ずつ交替で運転する。車内のほぼ中央右側階段を降りたところにトイレがあり、1畳程の仮眠室も設けられている。無論戸が付いている。
行きは左側だったが帰りは真ん中しか取れなかった。日曜日予約のチケットを金曜日に切り替えた結果だ。
前から6番目に座って、あれやこれや、一晩快適に過ごせるように周囲を整えていると、前席の若い人が「倒しいていいですか」と訊いてきた。上京の時は身勝手じいさんで嫌な思いをしたが、今回はちゃんと断りを入れてきたので、気分良く「いいですよ」と答えると、なんとこれまた全倒ではないか。こいつの図体が、これがまたデカイ。全体が柔道の井上康生の感じで、雰囲気からするとまわりに気を使わない、というより使えない育ち方をしている。今の日本に増えつつある種だ。この時点で「倒す」とは、直角を100度くらいにして座り心地を良くすることで、フラットはカーテンが引かれ寝る体制になったときのものだ。後ろがどのくらい迷惑するかの判断力がない。「おいおい、またかよ」と憂鬱になった。出発時点で左が空席だったので、デカイ声で「横に移っていいですか?」と確認して移動した。こういうとき、ちょっと意地悪な気持ちになる。背もたれの網のものが取れないので、「ったく、取りにくいナー」と言いつつ思い切り足で押し上げてやった。どんな状態なのかを知らしめる必要がある。
帰りは疲れもあったのかウィスキーが効いたのか5時間ほど眠れた。不思議なことにタンポポの夢を見た。黄色い春の色が地面にへばりついて、ぽつんぽつんと音符みたいに唄いだした。自分の童心を信じられるのは嬉しいもんだ。
カーテンを少しめくると、尾道の表示が見えた。たしか小津安二郎作品の舞台になったところだ。安らいでいる田んぼの風景ー日本だな。
午前11時頃、博多駅交通センター着。路線バスで帰宅。着もしないしわくちゃになった喪服を取りだしながら、カミさんは変にやさしく「お帰り」と言った。計35時間かけて新宿から横浜まで速達で香典を送り、エレジーを歌い続けたデカ顔親爺のトホホな行脚だった。



Posted at 15:11 | エッセイ | この記事のURL
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