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褻(け) [2007年06月10日(日) ]
褻の世界がある。生きていくには欠かせないが、公にはしない部分を言う。
生理的な事柄が多い。例えば、排泄行動だ。
トイレでの行為は一般には明らかにはしない。入れる(食べる)行為はべらぼうに喧伝されているが、その結末を隠すとは、よく考えれば奇しな現象である。
特に動物の世界からすれば、人間の「隠す」心理はかなり不自然だ。人間の数千数万倍という存在からすれば、余計におかしなことである。入れるも出すも当たり前のことで、加えて生殖目的の交尾も、何も恥ずかしいことではない。むしろこのために生を全うしているのだ。しかし人間はそこに「快楽」と置き換えることを付け加えたが故に、また文化という害も加わって、隠す行為に変えてしまった。だが現代の人間は本当の褻を持っているだろうか。褻は表に出せない=出さないものだ。出れば羞かしいことだが、だがらこそ知りたがり見たがる。羞恥心は好奇心と裏表で、商売も成り立ってしまう。カーテンの向こうは誰でも気になるものらしい。
昔は大らかだったらしい。古川柳の研究で有名な渡辺信一郎氏著の「江戸のおトイレ」では、220ページにわたって当時のトイレ=便所=厠=雪隠=後架の事情を詳しく記してある。川柳は元より挿し絵が面白い。
今どきのトイレは幽霊が出る隙間もなく、その件の風情がない。面白がる感覚が即物的で、快適のみを追求してきた結果しかない。かといって、「そんじゃ、おまえが空き地に木造で汲み取り式で隙間だらけの便所をつくって、その‘風情’とやらを味わえばいいじゃんか」と言われると面目をなくしてしまうので、このへんにしておこう。
ひとつ、少しばかり褻の気があるページを見つけたので紹介する。なんと褌(ふんどし)にまつわる事柄が、発祥から始まって締め方まで懇切丁寧にアップしてある。こまめなお人に感謝してほじくってみよう。

http://homepage1.nifty.com/koshifumi/fdc-00aa.html

Posted at 12:48 | エッセイ | この記事のURL
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