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読後感/「悪人」吉田修一著 [2008年05月06日(火) ]
手元に本はないので、いつものように表紙の画像を見せる事ができません。
作者は戦後まもなくの首相であった吉田茂の血につながる人だといいます。そんな事は全く関係はないのでしょうが、団塊の世代の一員として、あの激動期の時代に良きにつけ、悪きにつけ取りざたされる宰相の血につながるというのは、ある種の感慨を覚えます。

物語は犯人探しではないでしょう。犯人はすでに少し読めば分かるのです。
そんな認識に立って読後感を進めたいと思います。

佳乃は両親も友人も知らない秘められた私生活をしています。
出会い系サイトで知り合った祐一と佳乃は金銭ずくで性を売り買いします。
そんな吉野も想う男性がいるのですが、思いは通じません。
圭吾は偶然真夜中の公園で祐一と待ち合わせしている佳乃と会い、三瀬峠に心ならずも行ってしまいますが、餃子を食べニンニクの臭いをさせ、好きという心安さ(?)に気安く振舞う佳乃にキレてしまいます。
峠に乱暴に蹴飛ばして放置してしまいます。
蹴飛ばされ放置されるのを目撃した祐一は、邪険にされたことも忘れ佳乃に気遣いの声をかけます。
逆切れする佳乃、それが引き金になって祐一は殺してしまいます。

この事件を取り巻く数々の人々が一人称で語ります。
祐一を捨てた母。
祐一を育てた祖母。
佳乃の父、そして母。
佳乃と仲の良い(?)二人の友人。
当初の重要被疑者の無実の圭吾。
圭吾の友人鶴田。
祐一の殺人を犯した後知り合う光代。
光代の妹珠代。
その一人称の誰に共鳴するのか、誰が自分なのか、興味あるところです。

祐一と佳乃、その前に知り合った女性との絡み。祐一のやるせない心と心的外傷。
光代との触れ合いとその逃避行。

圭吾の親友鶴田と佳乃の父佳男の絡み。

どの場面も今日的な問題提起をしているように思うのです。

僕はといえば、殺された娘佳乃を思う父親佳男と佳乃の母に気持ちが傾きます。

Posted at 19:31 | この記事のURL
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