ミニバラなのに大きく見えるオレンジの花
鮮やかな色なので一輪贈ったら
「黄色のバラは別れの予感よ」
って、つぶやいて伏し目がちに私を見つめたあの人
そこは小さな港町だった
造船の会社で働く人たちの町でもあった
ひとり小さな町に配属されて
その造船会社の担当をしていた私
仕事帰りの道すがら、見つけた小さな喫茶とスナックの店で
その娘に巡り会った
おやっとおもうほど、その娘は小さな町にそぐわない雰囲気を持っていた
誰もいない店にポツンと私独りでコーヒーを呑む
その娘は隣のテーブルでトランプでソリティアを始めた
見るとは無しにカードで遊ぶ手元を見ていると
「やってみませんか?」
唐突に呼びかけられた
今でこそ、ソリティアは知られているが
その頃の私は知らなかった
「やったこと、ないんです」
「簡単よ、恋の占いしてみない?」
カードを持って私の隣に座る
「こうして並べて、数字の順番に移動していくの」・・・
気がつけば辺りが暗くなるまで、互いにカードで遊んでいた
そこに、娘似の女性が現れて
「あらっ、さっちゃんお友達なの?」
その店のママであり、娘の伯母であった
「いいえ、お客さんが独りで寂しそうだから、相手してあげてたの」
まあ、なんと、真っ直ぐにものをいう娘だ
「そうなの、でも、さっちゃんも、退屈を紛らわせて貰ったんでしょ」
そう言い置いて、ママは店の奥に消えた
「さて、喫茶の部は閉店よ、これからはスナックに変身」
と、言いながら席を立って店内を片付け始めた
「そうそう、スナックは隣だからママに何か作ってもらいましょう」
・・・・・☆☆
とんでもない追憶の世界に迷い込んでしまった