ワールドポータースに到着。
その足でインドネシア料理の店に入る。
席について落ち着いてからエリに話し掛けた。
「今日は会ってくれてどうもありがとう。また会ってくれるなんて、思わなかった。」
「え〜?私の方こそ、会ってもらえると思わなかった。嬉しい!」
なんとも可愛い反応である。
「ここは横浜では珍しいインドネシア料理の店だけど、日本人向けにアレンジされているから食べやすいと思うよ。」
我々が座ったのは、窓際の席だったこともあり、
「景色がいいね。」
自然にそんな言葉が口をついた。
「ヨッシー、いつもこんなにお洒落なお店で食事してるの?この間のイタリアンもお洒落だったし、このお店も素敵。」
「いつもじゃないよ。」
『特別な人と食事をする時だけだよ。』
と口をついて出そうになるが、それはあまりに気障でイヤらしいような気がして、そのまま言葉を飲み込んだ。
食事は、いつものようにスパイシーな美味しい料理が続く。
エリは、食事を口に運ぶ度に、「辛〜い!」とか「美味しい!」、「アツい!!!」などといった言葉を、コロコロと変わる表情と共に発している。
『可愛い!とても子供が二人もいるように思えない。』
と心の中で呟いたが、口には出せない。
お互いのことを話しながら、食事も終わり、
「さて、ここを出て少し歩こうか?」と私。
エリは、コクンと頷いて、私に続く。
ワールドポータースを出て、ランドマークタワーの方に歩いて行くと、左側にはコスモランドから鮮やかな夜の電飾と共に、若いカップルたちの嬌声が聞こえる。
「ジェットコースターって好き?」と聞くと、「大好き!」とエリ。
エリの大好きという言葉に、思わずドキッとする。
誤魔化すように、
「高所恐怖症なので、ダメなんだよね。観覧車もそう。 実家がドリームランドの横だったので、観覧車が目の前に見えたんだけど、一度しか乗ったことがないんだ。 それも高校時代に彼女にせがまれて、乗っただけ。 あそこの観覧車って、上の方に上ると滑り落ちるようになっていて、動き始めると落ちるんじゃないかと思って、メチャクチャ怖かった。」
動揺しているせいか、多弁だ。
エリが言った。
「観覧車乗りた〜い。」
「ダメだよ。怖いから…。 しょうがないなぁ…。」と言いながら、エリが喜ぶならと観覧車の方に歩いていった。
チケットを買い、ほとんど待たずに乗車する。
周りはすっかり暗くなっており、ガラス越しに横浜の夜景だけが輝いている。
観覧車の中に、エリと二人。
ドキドキドキドキ…。
心拍数が上がっていくのがわかる。
「うわぁ〜、キレイ!」と言っているエリが愛おしい。
「ほらっ、下を見てみなよ。 なんちゃって。 ヨッシーは高所恐怖症だから、見れないんだね。」
無邪気にからかってくるエリが、たまらなく愛おしい。
つい「キスしてもいい?」と口をつく。
『ダメだ!まだ2度目のデートなんだから・・・。何考えてるんだ!』
と頭の中で、もう一人の自分が叫ぶが、すでに言葉は発せられていた。
「うん。」と頷くエリ。
そして、横浜の夜景に包まれた観覧車の中で、エリとの初めてのKiss。
ドキドキドキドキ…。
この年になって、こんなにもトキメクなんて。
まるで少年のころに戻ったような…。
ほんの数秒のことだったが、まるで何時間もの間、そうしていたような不思議な気分に囚われていた。