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中距離パートナーRのこと、趣味の手織り…
日々つれづれを、のんびりゆったり綴ります。
(7/27「座無の創作ノート」休止いたします)

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藍染め体験  [2008年08月06日(水) ]
今日は夏休み

徳島県の藍住町へ、「藍染め体験」に行ってきました。ひとりで
簡単なハンカチ染めで、20分程度で完成です。

@ハンカチを選ぶ
A染め型を選ぶ(サンプル5種の中から)
Bエプロンと手ぶくろ貸出し
C藍の染料に漬ける(30秒つけて、30秒取り出し。これを数回繰り返す)
D水でしっかりすすぐ。
E脱水する。
Fアイロンをあてて乾かす。

            で、完成〜


私が染めたのは、「むらくも染め」というそうです。空と雲の様子に似てますね。
この染めには、人柄も表れるそうですが。。。どんな人柄だ

おみやげもしっかり買いました

                 私用の携帯ストラップ


               Rにはフクロウの陶器


でもなぁ…あとで考えた
国宝オジサンの壷を愛でるRに、650円の陶器はマズかったかも
タペストリーとか日傘とか、いいなと思うものは高くて手が出ませんでした

『地震でガチャン』してもいいように、玄関に置いてもらおーっと。








Posted at 17:34  | 雑記  | この記事のURL
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小津の魔法使い(其の3)  [2008年08月04日(月) ]



こんばんは。小ざむです。

夏の高校野球が開幕しました

座無ねえさんから聞いた話。。。

息子のダルくんが高校球児やったときのこと。
目立つ選手ではなかったから、新聞記事にもならんかったんやけど、最後の夏にピンチ場面でリリーフに立って、サヨナラ押し出しフォアボールで負けました。

翌日の新聞に、初めて敗戦投手のコメント談話が載りました。
後にも先にも、新聞に写真と名前が載ったんは、それだけやったって。

…ねえさん、いっつも負けてる方のチームを応援してます。

えーと。どこまで書きましたっけ。
あ、小津さんが「うちでのジャグチ」を出したとこまでやね。





        小津の魔法使い(其の3)



「『うちでのジャグチ』いいます」
魔法使いは得意そうに言いました。

「これは旧式のひねりになってますが、最近はワンタッチレバーが主流ですな。デザイン的にも凝ってて、ライオンの口とか小便小僧とかありますけど、性能は変わりません。まあ、そんなことはどうでもよろし。一つめの願いは何だすか?」
「あの、それで魔法をかけるんですか?」
「もちろん」
鈴木さんは半信半疑でしたが、ものは試し。たとえウソやハッタリでも、タダでやってくれるのだから損はしません。
「お嫁さんがほしい」
と、お願いしました。

「なるほど、なるほど。そら、そうでしょうなァ」
魔法使いはしげしげと鈴木さんの顔をながめました。
「あんた、女にモテるタイプやないね。失礼やけど、ワニとゴリラを足して二で割ったような顔してますもんね。いきなり女を押さえこんで強姦しそうな顔やね」

そこまで言うか。

「けど、お嫁さんいうのは抽象的やね。どんなお嫁さんがええんだすか。料理がうまいとか、美人とか、具体性がないと」
「むずかしいんですね」
「現実の魔法いうのは、お伽話の魔法とはわけが違いますさかい」
電話帳で無作為抽出した割には細かいことを言います。
「まあ、そういうお方のために『ご提案書』作ってます。見ますか?」
そう言って魔法使いは工具箱から書類を取り出しました。

「どうぞ」
書かれてあるのは、やはり見たこともない文字の列です。
「読めませんが」
と書類を返すと、魔法使いはちょっと顔をしかめ、面倒くさそうに受け取りました。

「松竹梅の三レベルあります。松は容姿端麗、竹は性格円満、梅は質素倹約と、三つの型になってます」
「三つの複合型はないんでしょうか」
「そら贅沢だす。長ずれば短あり、ものの道理だすやろ」
鈴木さんは考えました。魔法でお嫁さんを選ぶのですから、少しでもグレードの高い女の人のほうが得な気がします。性格円満、質素倹約の女の人なら、魔法を使わなくても見つかりそうです。

「じゃあ、松を…」
とおそるおそる言うと、魔法使いはにっと笑いました。
「松にしますか。その代わり、これは大変でっせ。かなりの出費が発生します。えー女がわんさか寄って来る分、出ていく金も半端やないからね」
「そうですかあ」
「そらそうだすがな。高い保険金もらうには、高い保険料かけまっしゃろ。同じ理屈だす」

そこで鈴木さんはまた考えました。願いごとは三つあるのだから、あとの二つでお金が入ってくるようにすれば、出費もどうということはないのではないか。

「松でお願いします」
ほな、いきまっせ、と魔法使いはジャグチを手のひらに乗せてささげ持ちました。そうして、もう一方の手でジャグチの頭をひとひねりしました。

何が出てくるかと身を固くした鈴木さんでしたが、何も出ては来ません。きゅっ、と虫が鳴くような小さな音がしただけです。あっけにとられる鈴木さんの前で、魔法使いはジャグチをもとにひねって、
「こんなもんでどうだす」
と、言いました。

(つづく)







Posted at 19:40  | 小ざむ文庫  | この記事のURL
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模様織り  [2008年08月03日(日) ]
糸の配色で、いろいろな模様ができます。

今回使用したのは、濃青ブルー


@パターン   縦糸と横糸 交互に一色ずつ

Aパターン 
縦糸は@
横糸は10段ずつ



























            



 
                 @パターン




              Aパターン

Posted at 16:35  | 手織り作品  | この記事のURL
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Rのおまじない  [2008年07月30日(水) ]
日頃から、成果主義的プレッシャーにストレスがたまり、お昼休みに同僚と愚痴をこぼすだけでは解消できなくなり、かといって「辞めてやる!」と引導を渡すほどの無謀さと勇気を持ち合わせず…。

「すみません。親が熱中症で寝込んでいるので、今日は定時に帰らせてください」

…と、ウソを言って5時半に退社してきたよ〜
今週いっぱいは、この手でサッサと帰っちゃおー

今までは、タイムカードを切ったあとも仕事を片付けていました。途中でやめると、結局自分の首を絞めることになるからです。

Rに言ったら、「そんなことを繰り返していると、僕のようになるよ」と…。

「余人をもって替え難し」仕事はないんだそうです。
真面目なのはいいけれど、無理をして体と心を壊しても、会社は助けてくれません。

座無「あのねー。ときどき動悸がするのよ。ストレスを感じると、5秒くらい心臓が止まることがあるよ

「病院には行ったの?」

座無「行ってない。前に健康診断受けたら、心電図異常なしだったし」

「病院へ行きなさい。24時間ホルター型心電図をつけてもらいなさい」

座無「24時間?」

「ふつうの心電図だと不整脈は出にくいからね」

座無「…(メンドくせ〜)」

「いつ病院行くの」

座無「そのうち」

「だめっ いつ行くか決めなさい。行ったら結果を知らせるように

座無「…(メンドくせ〜)」


…で、プレッシャーに押しつぶされそうになったときは、おまじないを唱えると良い、とRは教えてくれました。

「やーめたやめた 無理無理無理 どーしても無理なもんはしょーがない。命までは取られんよー。ハイ今日はもう終わり〜」
これならメンドくさくないね。でも、効くのかね


「大事なのは、『今日はもう終わり』ってことだよ。あしたは明日でできる限りやって、無理なところはアスタマニヤーナ(明日間に合うわな)なんだよ」

安易に仕事を辞めるなってことですね。。。


Posted at 23:00  | Rのこと  | この記事のURL
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小津の魔法使い(其の2)  [2008年07月29日(火) ]

こんばんは。小ざむです。

座無ねえさんによると、Rさんはだんだん体調が戻ってきてるそうです。
電話の声が明るくなったって、言うてました。
顔が見えんぶん、声の調子で感じるんでしょうね。

さて、あたしのまずいお話の続きです。どこまで書きましたっけ。。。

あ、魔法使いの営業の小津さんんが現れたとこまでやね。





       小津の魔法使い(其の2)



「魔法使いの営業やってまんね」
魔法使いのオズ…? なんだか出来すぎのような気がします。ぽかんとする鈴木さんにかまわず、男は続けて言いました。
「最近どこも不景気でんな。リストラ、倒産、金利は下がるわ税金は上がるわ、ええことおまへん。年金制度も崩壊寸前、お先真っ暗な世の中ですわ」
「……」
「私が以前勤めてた会社も倒産しましてん。それでここに転職したんですわ。まだ一年ですけど、この仕事は不景気ほど強い業種でね。おかげさんであんじょうやっとります」

これは新手の訪問販売に違いないと鈴木さんは思いました。何を売りつけるつもりか知りませんが、用心用心。ここは相手にせず、さっさと追い返したほうが賢明です。
「今、忙しいのでね」
と、そっけなく言いました。
「まあまあ、話だけでも聞いとくなはれ。タダですさかい」
タダ、という言葉に鈴木さんは反応してしまいました。話を聞くだけなら大丈夫かもしれません。それに魔法使いの営業なんて、バカバカしいけれどおもしろそうです。

しかし、オリーブ色の作業服の上下にイボイボつきの軍手をはめた姿は、どう見ても道路工事夫にしか見えません。営業マンなら、それらしい格好というものがありそうなのにと、鈴木さんは思いました。
「あのね、このたびあなたが当社の魔法体験モニターに選ばれたんですわ」
「はあ?」
「モニターの方には無条件で三つの願いごとをかなえてあげます。その後、意見や感想を所定用紙に書いて提出していただくというわけです」
「はあ」
「今だけのラッキーチャンスです。タダで願いごと三つでっせ」
「魔法体験モニターって、聞いたことありませんね」
「うちは一年前に設立した会社だす。二十一世紀型企業をめざしてまんね。今回は地域限定、期間限定のモニターだす」
「なんで私に?」
「電話帳繰ってね、無作為抽出です」

どうもうさん臭い。

鈴木さんは疑いのまなこで魔法使いを見やりました。
「間に合うてんなら、次へ回しまっせ」
魔法使いはこともなげに言います。
「このご時世、喜んでモニター体験してくれる人は、ぎょうさんいてますからな」
そう言われると、たとえ眉ツバでも惜しい気になり、
「やります、やります」
と、思わずすがりついてしまいました。
「あっ、そう。では」
魔法使いはエヘンと咳払いをし、緑色の工具箱を地べたにおいて蓋を開きました。取り出したのは、どこでも見かける金具です。そう、台所や洗面所やお風呂場にある、アレ…。
「『うちでのジャグチ』いいます」
魔法使いは得意そうに言いました。

(つづく)


Posted at 20:42  | 小ざむ文庫  | この記事のURL
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テーブルセンター  [2008年07月27日(日) ]

カラフル糸の余りでテーブルセンターを織りました。

前回は、縦糸のブルーが自己主張していましたから、今回は控え目のピンク。横糸の引き立て役です。

今度はうまくいった〜


Posted at 16:47  | 手織り作品  | この記事のURL
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うだつの町並み  [2008年07月26日(土) ]
「今日は一日、好きなことをしよう!」

突然思い立ち、まずはガソリンスタンドで給油。

おばさんから、「現金会員じゃなくて、口座引き落としにしたらどうなん? 50Lまでは10円引きやし、その後は3円/L引き。年会費無料、契約したら商品券1000円つけるよ」即手続。

その足(=車)で、国道を下って讃岐山脈を越え、徳島県の脇町に入りました。

目的地は、前から行きたかった「うだつの町並み」です。


        


「藍で栄えた幕末から明治期まで、南町通り(うだつの町並み)には藍商をはじめとする多くの商家が建ち並び、人々でにぎわっていました。…昭和63年に全国で28か所目の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています」(町指定文化財 吉田家住宅パンフレットより)

藍商吉田邸



「虹をつかむ男」の舞台となった「オデオン座」にも立ち寄りました。レトロ〜



「うだつの町並み」のことは知っていたけれど、車でたった一時間、半日で散策できるくらい近いことを、改めて知りました。

何度も散策したい町並みです

Posted at 17:46  | 雑記  | この記事のURL
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小津の魔法使い(其の1)  [2008年07月24日(木) ]


こんばんは。小ざむです。

座無ねえさんが、別館「座無の創作ノート」で、エッセイや掌編を発表してますけど、あたしも、「門前の小僧」で、お話を作るの好きになりました。

ホームページを立ち上げるような器用なことができないんで、このブログの中に、ねえさんの許可をもろうてカテゴリ追加しました。

名付けて、「小ざむ文庫」

しょーもないお話ですけど、もし興味があったら読んでくださいね。






       小津の魔法使い



                 一


 鈴木さんは小説を書いています。
小さな同人誌に入ってコツコツと作品を発表しながら、地元の文学賞にも応募しています。作家になりたいという夢を持っていますが、まずは地元の賞で認められることが目標です。

しかし、なかなか認めてもらえません。第一目標である「朽木(くちき)賞」は、落選記録を更新中。毎年、自分ではない誰かの受賞会見をテレビで見ては、がっかりする鈴木さんです。

「賞をもらったら、いろんなことが変わるんだろうな。テレビに出たり、新聞に載ったり、講演をしたり取材を受けたり。小説の注文がどんどんきて、有名作家になれるかもしれない。そうしたら、今のように手袋工場で型どりの仕事なんかしなくてすむし、お嫁さんに来てくれる人がいるかもしれない」

鈴木さんは手袋やバッグを作る工場で働いて十年になります。三十才を半分くらい過ぎていますが、まだお嫁さんがいません。

パートのおばさんたちから「変人」と陰口を言われていることは知っています。お昼休みにひとりでフルートを吹いたり、休日に焼き物を作りに行ったりするのが、おばさんたちにはおかしく見えるのかもしれません。楽器を鳴らしたり壷を作ったりするのは得意でも、手袋の型どりはうまくできないので、バカにされているのです。

定年まぎわの工場長にまで、「鈴木くん、この仕事は向いてないんちゃうか」と、肩をたたかれる始末。それでも、ここを辞めたら食べていけないので、何を言われてもじっと我慢している鈴木さんです。

あるとき、鈴木さんが庭そうじをしていると、きたないトラックが坂道を上がってくるのが見えました。よく見ると、それはオート三輪というやつで、今時めずらしい代物です。こんなものが走っているのを最近は見たことがありません。そのオート三輪はガラガラと大きな音をたてて鈴木さんの目の前で急停車しました。

中から出てきたのは、鈴木さんと同じくらいの年齢の男です。ぴったりと七三に分けた髪、牛乳ビンの底のような眼鏡、着ているものはどこかの工事現場の作業服のようで、緑色の工具箱のようなものを手に提げていました。

「まいど」
男は表情ひとつ変えずに頭をさげました。 どーも、と鈴木さんもおじぎをしました。家の近くで道路工事をやっているので、お騒がせのご挨拶にでも来たのかなと思いました。
「私、こういうもんです」
男が差し出した名刺には、見たこともない文字が並んでいます。象形文字? いやいやハングルか、それとも古代エジプトのヒエログリフか。

「読めませんけど」
と言うと、
「エクセレントマジック商会の小津(おず)いいます」
と、男は答えました。
「魔法使いの営業やってまんね」

(つづく)


Posted at 22:50  | 小ざむ文庫  | この記事のURL
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テーブルセンター  [2008年07月22日(火) ]
複雑な織物は、まだ出来ないから、相変わらず簡単平織りのテーブルセンター。縦糸がブルー、横糸はカラフルな色糸を使用。縦糸の個性が強くて、横糸の色合いが出ていません残念




10月で織りを始めて一年になります。
最近では、縦糸の整経も一人でやるし、長さや幅の計算も、ちゃんとできるようになりました。もともと簡単な計算式
先生や教室の方から、「整経早いね〜」と褒められるようになりました

織り機が来てからは、一週間にひとつ織るようになって、自宅学習の成果です

先生が、「半年に一回くらいは、展示会をしようね」と、おっしゃっていたので、頑張って作品を増やそうと思います。

芸術的な作品より、日常に使えるものを織りたいです。そんなのしか織れないけど

Posted at 22:29  | 手織り作品  | この記事のURL
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驟り雨(藤沢周平)〜厭世から再生へ〜  [2008年07月19日(土) ]
大手出版社の元編集長だった方の講演会に出かけたことがあります。

「どんな作品が目にとまるのか」とお尋ねしたら、「とにかく、品のない文章はダメです」と、お答えくださいました。

すぐに頭に浮かんだのが、藤沢周平です。

   わかりやすい(でも常套句は使わない) 
   品がある(でも艶もある)

藤沢周平作品には、武家もの・町人ものなど、多くの長短編があります。どれも捨てがたい感動があり、一つに絞るのは難しいのですが、「驟り雨」(新潮文庫)は、とりわけ印象に残る作品です。

あらすじは、あとでご紹介するとして、まずは書き出しから。

「盗人が一人、八幡さまをまつる小さな神社の軒下にひそんでいた。嘉吉という男である。
嘉吉は、昼は研ぎ屋をしている。…(略)…そうして回っている間に、これぞと眼をつけた家に、夜もう一度入り直すわけである」


2段落、5行、6文、文字に換算すると166字(数えた)

誰がどこで何をしている、という状況を冒頭で説明するとともに、「で、それから?」という読者の興味を引いています。

「だが聞こえてくるしあわせそうな笑い声は、嘉吉のまぼろしのような物思いを無残に砕き、しあわせはとうの昔に失われて、いまは何も残っていないことを、あらためて思い出させるようだった」

さりげない表現の中にじんわりと光るものを感じます。いざ自分が描写するとしたら、こんな表現ができるかどうか。

さて、あらすじです。

≪あらすじ≫

ここと眼をつけた商家に忍び込むべく、嘉吉は軒下にひそんでいます。夜ふけて、折からの激しい雨。
そこへ、次々と、ひとが雨やどりに駆け込んできます。そのやりとりを、嘉吉は物陰から聞いています。

@お店の若旦那と奉公女。
  ひそかな逢引の帰りで、女が身ごもったとかなんとか言って、男の態度が豹変。
  嘉吉(あーよくあるパターンね。先は見えてる、ご愁傷様。とっとと行けよ!)

A金の分配でモメているやくざ者2人。
  言い争いの挙句、一人が一人を刺したらしい。転がった男を捨てて一方は逃げる。
  嘉吉(あら刺しちゃった、マイッタネ。ホトケがいたんじゃ仕事しにくいな…あれ、起き上がったよ、生きてたのか。おっしゃー行くぞー!)

B病気の母と幼い娘。
 亭主に女が出来て捨てられたらしい。店賃が払えず、亭主を訪ねたが追い返された。
  嘉吉(……)

 母子のやりとりを聞いているうちに嘉吉の心がさざめいてきます。
 不意の病で失った女房と娘の姿が、哀れな母子と重なります。

 ―なんてえもったいねえことをしやがる。

こんないい女房子どもがありながら、それでも足りずに家を捨てるなんて、ゆるせねえぜいたくな野郎だ。

雨の中、よろよろと歩きだす母親。泣き出す子供。
嘉吉はたまらず飛び出していきます。
驚きおびえる母子に、嘉吉は言うのです。

「おいらはしがねえ研ぎ屋だが、よかったら、ちっとぐれえ力になりまずぜ、おかみさん」




そもそも、まっとうな職人だった嘉吉が、なぜ盗人稼業に手を染めたか。
愛する者を失い、生きる支えをなくしたとき、彼は世間を憎んだのです。

「しあわせに暮らしている奴らが憎い」あれ、最近どっかで聞いたような) 

これは、世間を嫌い厭世感に浸っていた男にとって、失った愛する者たちへの鎮魂であるとともに、魂の再生を予感させる新たな出会いでもありました。



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