
こんばんは。小ざむです。
夏の高校野球が開幕しました
座無ねえさんから聞いた話。。。
息子のダルくんが高校球児やったときのこと。
目立つ選手ではなかったから、新聞記事にもならんかったんやけど、最後の夏にピンチ場面でリリーフに立って、サヨナラ押し出しフォアボールで負けました。
翌日の新聞に、初めて敗戦投手のコメント談話が載りました。
後にも先にも、新聞に写真と名前が載ったんは、それだけやったって。
…ねえさん、いっつも負けてる方のチームを応援してます。
えーと。どこまで書きましたっけ。
あ、小津さんが「うちでのジャグチ」を出したとこまでやね。
小津の魔法使い(其の3)
「『うちでのジャグチ』いいます」
魔法使いは得意そうに言いました。
「これは旧式のひねりになってますが、最近はワンタッチレバーが主流ですな。デザイン的にも凝ってて、ライオンの口とか小便小僧とかありますけど、性能は変わりません。まあ、そんなことはどうでもよろし。一つめの願いは何だすか?」
「あの、それで魔法をかけるんですか?」
「もちろん」
鈴木さんは半信半疑でしたが、ものは試し。たとえウソやハッタリでも、タダでやってくれるのだから損はしません。
「お嫁さんがほしい」
と、お願いしました。
「なるほど、なるほど。そら、そうでしょうなァ」
魔法使いはしげしげと鈴木さんの顔をながめました。
「あんた、女にモテるタイプやないね。失礼やけど、ワニとゴリラを足して二で割ったような顔してますもんね。いきなり女を押さえこんで強姦しそうな顔やね」
そこまで言うか。
「けど、お嫁さんいうのは抽象的やね。どんなお嫁さんがええんだすか。料理がうまいとか、美人とか、具体性がないと」
「むずかしいんですね」
「現実の魔法いうのは、お伽話の魔法とはわけが違いますさかい」
電話帳で無作為抽出した割には細かいことを言います。
「まあ、そういうお方のために『ご提案書』作ってます。見ますか?」
そう言って魔法使いは工具箱から書類を取り出しました。
「どうぞ」
書かれてあるのは、やはり見たこともない文字の列です。
「読めませんが」
と書類を返すと、魔法使いはちょっと顔をしかめ、面倒くさそうに受け取りました。
「松竹梅の三レベルあります。松は容姿端麗、竹は性格円満、梅は質素倹約と、三つの型になってます」
「三つの複合型はないんでしょうか」
「そら贅沢だす。長ずれば短あり、ものの道理だすやろ」
鈴木さんは考えました。魔法でお嫁さんを選ぶのですから、少しでもグレードの高い女の人のほうが得な気がします。性格円満、質素倹約の女の人なら、魔法を使わなくても見つかりそうです。
「じゃあ、松を…」
とおそるおそる言うと、魔法使いはにっと笑いました。
「松にしますか。その代わり、これは大変でっせ。かなりの出費が発生します。えー女がわんさか寄って来る分、出ていく金も半端やないからね」
「そうですかあ」
「そらそうだすがな。高い保険金もらうには、高い保険料かけまっしゃろ。同じ理屈だす」
そこで鈴木さんはまた考えました。願いごとは三つあるのだから、あとの二つでお金が入ってくるようにすれば、出費もどうということはないのではないか。
「松でお願いします」
ほな、いきまっせ、と魔法使いはジャグチを手のひらに乗せてささげ持ちました。そうして、もう一方の手でジャグチの頭をひとひねりしました。
何が出てくるかと身を固くした鈴木さんでしたが、何も出ては来ません。きゅっ、と虫が鳴くような小さな音がしただけです。あっけにとられる鈴木さんの前で、魔法使いはジャグチをもとにひねって、
「こんなもんでどうだす」
と、言いました。
(つづく)