
こんばんは。小ざむです。
猛暑が一転、ここ数日は涼しい日が続いています。
今年は、秋の訪れが早いかもしれませんね。
さて、つづきです。
どこまで書きましたっけ…?
あ、鈴木さんが有頂天になってるところへ、魔法使いがひょっこり現れたとこまででしたね。
小津の魔法使い(其の6)
「まいど」
「ああ、あんた。何しにきたんですか。僕はこれから朽木勘記念館の落成式に行くんですよ。時間がないんですがねえ」
「メンテナンスですわ。六ヵ月の定期点検に来ました」
「だったら、ご覧のとおり、按配よくやってます」
「そら、ようおましたな」
とは言いますが、魔法使いは何となく不機嫌そうです。
「あんた、モニター感想文出してまへんな。ものを書くお商売の人が、そういうのはどうですやろね」
「あ…」
モニター感想文のことはすっかり忘れていました。忙しかったのだから仕方がありません。しかし…。
うす汚れたキャップをかぶり、緑色のさびついた工具箱を提げた魔法使いを、鈴木さんは冷たい目で見つめました。
この男が魔法使いなんて信じられない。そこらへんの工事人夫と変わりがないじゃないか。第一、『うちでのジャグチ』なんてふざけた金具でひとひねりする魔法があるものか。
考えてみれば、まだお嫁さんは見つからないし、小説も今まで書きためていたものを手直ししただけです。朽木賞をもらい、本を出版したのは魔法のおかげのように錯覚してしまったけれど、ほんとは何もかも自分の実力のような気がします。
『あぶない、あぶない』
モニターなどとうまいことを言って、人を油断させる悪質商法に違いありません。どんな罠を仕掛けてくるのか、このままいけば身ぐるみはがされて、ケツの毛までぬかれてしまうところでしょう。
鈴木さんは猛然と腹がたち、魔法使いにつかみかかりました。
「何が魔法体験や。何が三つの願いごとや。そんなもん、誰が信用するか!」
仰天したのは魔法使いです。いきなり首を締めあげられたものですから、目を白黒させながら手足をばたつかせました。
「そっ、そやかて、思い通りになりましたやんか!」
「それは俺の実力じゃい!」
今度は馬乗りになってポカポカ殴りつけます。
「ワニとゴリラを足して二で割ったような顔や言うたな! 女を押さえこんで強姦する顔や言うたな!」
「す、すいません!」
こういう手合いは、二度と悪さをしないようにとっちめておくのが得策です。
「お前も魔法使いなら、自分のピンチを逃れる術くらい心得てるのとちゃうんかい!」
「そっ、それは専門が違います。我が身を守るのは忍者の類で、魔法使いは他人の…」
「何をゴチャゴチャ抜かしとんじゃ! この詐欺師が!」
「おた、おた、おたすけ!」
魔法使いは鼻血を吹きながらヒイヒイ泣きわめきます。
さすがにかわいそうに思った鈴木さんは、最後に魔法使いの頭をひとこづきして離してやりました。ポケットをまさぐると、ティッシュと名刺が出てきました。鈴木さんはティッシュを魔法使いに放り投げ、名刺のほうはびりびりに破り捨てました。
「二度と来るな。魔法使いやなんて、ふざけたこと言いやがって」
魔法使いは鈴木さんをうかがい見ながらティッシュをコヨリにして鼻の穴へ突っ込みました。なんともなさけない姿です。
地面にばらけた工具類をかき集めたあと、魔法使いは上目遣いに鈴木さんを見て言いました。
「あのう、感想文は…?」
「まだ言うてんのかい!」
鈴木さんがこぶしを振り上げると、魔法使いは泡を食ったようにオート三輪にかけこみました。そして、エンジンをめいっぱいにふかして走りさって行きました。
(つづく)
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at 20:24
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やそうで、ウキウキしてます。








