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中距離パートナーRのこと、趣味の手織り…
日々つれづれを、のんびりゆったり綴ります。
(7/27「座無の創作ノート」休止いたします)

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小津の魔法使い(其の9) [2008年09月27日(土) ]


こんばんは。小ざむです。

お彼岸を過ぎたら、朝晩が涼しくなりましたね。

座無ねえさんの温泉旅行は、前の晩から、タイヘンやったんです。

お弁当材料を買うてきてね、「明日は全部あたしがやるから、台所に入っていたらダメ!」言うて。

あたしが、「ご飯、しかけときましょうか? 新米やから、水かげんにいコツがあるんですよ」って、一緒にやったら、「少ないんじゃないの? これで絶対大丈夫だろうね? こちこちご飯にならんやろうね??」なんて、うるさいこと

いつもはお寝ぼうの座無ねえさんが、あさ5時半に起きてきて、一生懸命作ってました。

とにかく、楽しんできたようで、よかったです。

さて、どこまで書きましたっけ? そうそう、女の人にお金を出して、結婚を申し込んだところまででしたね。




     小津の魔法使い(其の9)


人相の悪い男が訪ねてきたのはその数日後のことでした。
「ちょっとお尋ねしたいことがありましてね」
鈴木さんはおっかなびっくりドアを開けました。サラ金の取り立て屋かしら。でもおかしいな、つい昨日、女の人の部屋の前でスピーカーを持って「金返せ」と騒いでいた取り立て屋に、五百万円たたきつけてやったところです。
お金と引き替えに借用書を置いていきましたし、二度と来ないと約束もしました。
いったい何の用で来たのでしょう。

「私、こういうもんです」
男は胸ポケットから黒い手帳を取り出しました。警察手帳です。
「この女、知ってますか?」
刑事さんが見せてくれた写真は、あの女の人でした。
「この人がどうかしましたか?」
「前科三犯、全国指名手配の結婚詐欺師です」
「え…」
「弟が借金した言うたでしょ? それで取り立て屋に金渡したでしょ? 毎度おんなじパターンですわ」
「……」
「取り立て屋は、女のコレでしてね」
と、刑事さんは親指をたてました。
「あんたの他にあと二人、同じ手口でやられてます。同時に三人の男を手玉にとったんですなあ、感心しますわ。ま、だまされるほうもどうかと思うけど」
三人からそれぞれ五百万ずつせしめてトンズラしたと言うのです。

まさか…。だって昨日、女の人に会ったばかりです。鈴木さんはあわてて女の人に電話をかけました。
『この電話は現在使われておりません』という自動音声が受話器から聞こえました。
でも信じられません。鈴木さんは無理やり刑事さんに頼んで、女の人のアパートに連れていってもらいました。パトカーの中でいろいろなことを聞かれましたが、うわのそらです。冷汗が止まりません。

そしてアパートに着くと…。
誰もいませんでした。部屋のドアにかかっていた名札も、台所の格子窓に並べてあったハーブの鉢植えも、靴箱の上に掛けてあった外国の庭園の絵もありません。何もかもなくなって、がらんとした畳間が広がっているだけでした。

「被害届、出しますか?」
と、聞かれ、
「出します! 逮捕してください、金を取り戻してください!」
刑事さんの胸をつかんで鈴木さんは叫びました。
「逮捕しますよ。それが我々の仕事ですからね。しかし、金が戻るかどうかは保証できまへん。それは民事のほうで」
と、刑事さんの口調は冷静です。
「あんた、作家の先生でしょ? これをネタにハードボイルドでも書いたらどうです」
そう言って、口をゆがめて笑いました。


(つづく)


Posted at 18:46 | 小ざむ文庫 | この記事のURL
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温泉の旅 [2008年09月22日(月) ]

Rと二人で小さな旅をするのが夢でした。

年明けからRの体調が少し悪くなって、あきらめかけていたのですが、先月、話の成りゆきから、温泉旅に出かけることになりました。

行先は、湯村温泉。「夢千代の里」です。

四国から高速を経由して5時間。山陰の山間にある小さな温泉町です。途中、Rの体調を配慮しつつ、休憩を何度も取りました。お弁当を作り、サービスエリアでのんびり食べたり、風景を見たり…。

低気圧が通過して、お天気はあいにくの
でも、雨の温泉宿も風情がありました。

観光名所は、何といっても「夢千代館」。
Rは「夢千代日記」のファンだったそうで、今度の旅も発案は彼の方でした。

私は、このドラマを観たことはなかったのですが、早坂暁の作品は「花へんろ」で、ずいぶん泣かされました。人間の愛と哀しさを描ける、好きな作家です。




荒湯。有名人の手形もある



夢千代像。




お土産に買った「「春来人形」。私たちにも♪春よ来い♪



1泊2日の旅でした。「もう一度、ゆっくり来ようね」と話しました。




Posted at 18:23 | 雑記 | この記事のURL
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秋色に魅かれて [2008年09月19日(金) ]
通販で取り寄せた糸を使って、立て続けに織ってみました。




               ワイン絣で織ったショール



     虹色クラデーション糸で織ったマフラー

Posted at 23:36 | 手織り作品 | この記事のURL
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次の一歩? [2008年09月15日(月) ]
教室の先生曰く、

「手織りを始めた人は、やがて着る物を作りたくなる」

自分で糸を選び、ウェアを作ることができたら…たとえできが悪くても一点ものです。そこまでできたら、どんなに素晴らしいことでしょう。

でも、着る物ってむずかしいそうです。型紙とって縫い合わせて…洋裁苦手の私に出来るんだろうか…。

まずは、ボレロとかポンチョなどを手掛けてみようと思います。

写真はショール(原形)ですが、前にボタンをつけたら簡単ボレロになります。ボタンは、次回、フェルト原毛を使って製作予定です。


          1年前に比べると、けっこう上達



Posted at 16:48 | 手織り作品 | この記事のURL
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小津の魔法使い(其の8) [2008年09月14日(日) ]


こんばんは。小ざむです。

朝晩は涼しくなりましたね。
四国はお天気が不安定で、ときどき夜中に大雨が降ったりします。
肝心の早明浦ダムは、相変わらず干上がってるので、水不足が続いています。

さて、つづきです。どこまで書きましたっけ…。
そうそう、大忙しの鈴木さん。女の人にはモテモテ、何を書いても売れまくっているところまででしたね。





       小津の魔法使い(其の8)




「お金を貸してください」
そう言ってきたのは、鈴木さんがいちばん好きな女の人です。
その人はクラブという、お酒を飲むお店で働いている人でした。弟がサラ金に手を出し、お金を返せなくて困っているというのです。

鈴木さんはいろんな女の人におねだりをされましたが、その人だけはおねだりをしませんでした。だから、よけいにその人が好きでした。
いちばん好きな女の人が困っているのに、助けてあげないわけにはいきません。
「いくらいるの?」
と、尋ねると、
「五百万円」
と、答えます。

鈴木さんはちょっと迷いました。五百万円は多すぎると思いました。
でも、他の女の人には六十万円の腕時計や二十万円のバッグを買ってあげたことがあります。それらはみんな、女の人たちが自分のために欲しがったものです。なのにこの人は自分のためではなく、弟の借金返済に必要だという。それに「ください」とは言わず「貸してください」と言う。

貸してあげたいな、と思います。でも、やっぱり五百万は多すぎる。
鈴木さんが何も言わないでいると、女の人は泣きそうな顔をしました。
「弟が家を飛び出していなくなったので、私に取り立てがくるのです」
 朝晩、催促の電話がかかってきて、ひどい言葉で怒鳴りつけるのだそうです。部屋のドアに「金返せ」と真っ赤な文字で書いたはり紙をされたこともあるそうです。アパートにきて大声でわめいたり窓をたたいたりするので、こわくていたたまれないといいます。

涙ながらに語る女の人の話を聞いているうち、鈴木さんはとてもかわいそうになりました。
女の人が悪いのではなく、お金を借りて返さないまま逃げてしまった弟が悪いのです。

「ひどい弟さんですね」
と言うと、
「お金を借りたのは、私がクラブで働かなくてもいいように会社を作りたかったから。だから私のせいなんです」
と、言ってまた泣きました。

なんてやさしいのでしょう。弟を責めず、自分のせいだという。

この人は自分が今まで会った女の人の中でいちばん誠実な人だと思いました。そして、この人をお嫁さんにしようと決めました。
「お金は用意します。でもその代わり、私のお嫁さんになってください」
鈴木さんがそうお願いすると、女の人は目を輝かせてうなずきました。


(つづく)


Posted at 23:06 | 小ざむ文庫 | この記事のURL
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小津の魔法使い(其の7) [2008年09月04日(木) ]


こんばんは。小ざむです。

この数日、雨が降ったりやんだりで涼しい日が続いてましたが、今日は久しぶりに蒸し暑い一日でした。
秋の訪れが早いかも…なんて早合点しましたが、やっぱりいつもどおりの残暑ですね。

さて、つづきです。
どこまで書きましたっけ…? あ、鈴木さんが小津さんをポカポカやっつけたところまででしたね。





        小津の魔法使い(其の7)


           3

鈴木さんは手袋工場を辞めました。
工場長やパートのおばさんは泣いて引き止めましたが、鈴木さんはもう手袋の型どりなんてバカバカしくてやる気が起こらなくなっていたのです。

それに、毎日が忙しくて寝る時間もありません。
新聞連載、週刊誌の対談、旅のエッセイ、雑誌の短篇、文芸講演会と、いちどきに何本もの仕事を抱えています。しかも、その合間をぬって出版社の編集者と飲み屋へ行ったりゴルフに出掛けたりしなくてはなりません。

行く先々で女の人が寄ってくるようになりました。「作家」という名刺を差し出すだけで、やさしくしてくれます。今までこんなにやさしくされたことがない鈴木さんは有頂天です。だから、女の人からおねだりをされると何でも買ってあげます。

すると女の人はとっても喜びます。お嫁さんになると言ってくれる人もいます。何人かの女の人からそう言われ、鈴木さんは困ってしまいました。お嫁さんは一人ですもんね。 「お嫁さんにしてくれないなら、もうやさしくしてあげない」とすねる女の人もいます。すると鈴木さんは自分が意地悪をした気になり、女の人のご機嫌をとるため、またいろんなものを買ってあげるのでした。

そんなふうですから、お金がいくらあっても足りません。仕事はたくさんあるし、本の売れ行きも好調ですが、まだ鈴木さんの通帳には印税が入りません。
編集者が言うには、「今年売れた本の印税は来年入ります」とのこと。まだ先の話です。これでは印税が入る前に破産してしまうかもしれません。
一度でいいから腐るほど眠りたいと思います。どうしたらゆっくり眠れるのか、鈴木さんは知恵をしぼって考えました。

『そうだ、病気になればいいんだ』
これは名案です。病気になれば遠慮なく眠ることができますね。
そこで鈴木さんは、勇気をふるってカビのはえた食パンを食べました。でも、ほんのちょっぴり下痢をしただけで、寝込むほどではありません。

次に考えたのは、風邪をひくことでした。
お風呂からあがって素裸のまま、窓を開け放して寝ました。けれど、夜中に三回くしゃみが出ただけで、これも効き目がありません。まるで魔法にでもかかったようにピンピンしている鈴木さんです。

編集者は毎日のようにやってきて、催促します。
「早く新作を書いてくれませんかね。あなたは『平成の漱石』『日本のディケンズ』です。ここらでどーんと直木賞候補にあがるような作品を」

また、こうも言います。
「あなたは時代の寵児です。今まで誰も知らなかったローカルの文学賞から、いちやく中央文壇に躍り出た。これは奇跡か魔法です。あなたには運がある。その運を持続させるためにも、書いて書いて書きまくるんです。大丈夫、字さえ書いていれば本は売れます」

本当でしょうか。

しかし、悩んだり考えたりする余裕はありません。女の人に買ってあげた指輪や靴やバッグや洋服の代金が、通帳からどんどん落ちていきます。残高がなくならないように、講演やエッセイや小さな賞の選考委員や雑誌の対談を、次々とこなしていかなくてはなりません。そんなスケジュールの間に、睡眠時間を削って小説原稿を書くのです。

「主人公の名前が途中で変わってますよ。あと、季節が春から冬に逆行してました。こちらで直しておきましたけど」
と、編集者から文句を言われることもしばしばです。
数本の連載をかかえて締切に追われていれば、主人公の名前を混同するのも仕方がないかもしれません。鈴木さんはもう、自分がどんな小説を書いているんだかわからなくなっています。

ある日、本屋で雑誌の立ち読みをしていたとき、ちっともおもしろくないエッセイがあって、「誰が書いたんだろう?」と作者を見たら自分だったことがありました。
まるきり書いた覚えがないのですが、鈴木さんの名前が書いてあるのだから間違いないのでしょう。

新聞連載にいたっては会話の羅列。アイデアが浮かばないから仕方なく会話で行を埋めているのです。誰が読んだってつまらない小説です。それでも本は売れているし、仕事の依頼もくる。不思議といえば不思議でした。


(つづく)



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